放熱シートに提案、東大が開発したやわらかい絶縁複合材の仕組み
東京大学の長谷川瑠偉大学院生と寺嶋和夫教授らは、ゴムのようにやわらかく金属並みに熱を通す絶縁複合材料を開発した。高分子中で窒化ホウ素のフィラーを並べ、フィラーの配列方向に熱を流す。対象に密着できるため、半導体と放熱フィンをつなぐ熱層間材に提案していく。
分子が動きやすい環動高分子の中でフィラーを配向させる。フィラーを65%混ぜて複合材の膜厚方向に交流電界をかける。パルス電界の採用などで50倍高い電界をかけられるようになった。長時間かけると発熱して配向しにくくなり、30%程度のフィラー添加量が限界だった。
試作品の熱伝導率は1メートルケルビン当たり11ワットとチタン合金並みになった。硬さを表すヤング率はゴムのやわらかさに相当する。体積電気抵抗率は1・9×10の11乗オームセンチメートルと絶縁体になった。放熱シートに提案していく。
日刊工業新聞 2024年5月30日