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半導体・EV投資追い風…機械・工具商社8社の通期予想、全社増収営業増益の背景事情

機械・工具商社8社の2025年3月期連結業績は全社が増収、営業増益を予想する。工作機械の受注は下期にかけて回復を見込み、半導体や電気自動車(EV)関連の投資拡大も追い風となる。一方、円安進行による原材料・燃料費の高騰や中国経済の低迷、世界的な金融引き締めに伴う設備投資への影響など先行きの不透明感は引き続き漂う。

機械・工具商社8社

山善は25年3月期に生産財では技術営業を推進し、夏以降に半導体関連で大型受注を計画する。海外市場は「成長著しいインドや北米で事業を拡大していく」(岸田貢司社長)方針だ。一方で国内の設備投資の回復の遅れや中国の景気動向などを踏まえて、3カ年中期経営計画の最終年度となる25年3月期の売上高目標を当初計画から700億円下げるなど目標数値を修正した。

ユアサ商事の25年3月期は全利益段階で3期連続の最高益更新を目指す。田村博之社長は「工作機械は半導体製造装置向けを筆頭に8、9月以降に回復してくる」と見る。成長戦略で重視する海外事業は生産財や住環境・建設など総合的に展開し、タイやインド市場を攻める。タイでは新社屋を24年中に完成させ、インドでも24年度中に拠点を4カ所に倍増する。増収増益予想のトミタも継続してインド事業を強化する。 

椿本興業の香田昌司社長は25年3月期業績見通しについて、「(自動化・省人化など)人手不足対策の商材を提案し、計画を達成できる」と強調する。環境関連機器の拡販に加え、二次電池の大量生産に適した設備提案を進める。

24年3月期は4社が増収、営業増益だった一方で、中国経済低迷の影響などを受けた4社は減収、営業減益となった。

各社にとっては、中国経済の回復の見通しが立たない中、海外市場では成長を見込むインドや東南アジア諸国への進出が業績拡大のカギとなりそうだ。

25年3月期の計画達成に向け、供給が回復傾向にある半導体関連や自動車関連をけん引役にし、自動化や省人化、脱炭素化対応の設備投資需要を着実に取り込む戦略が求められる。


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日刊工業新聞 2024年05月27日

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