燃料電池・全固体電池向け高性能機種提案…ヒラノテクシード、塗工機で北米・エネ深耕
ヒラノテクシードは塗工機事業で、北米市場の開拓とともに次世代燃料電池向けのエネルギー分野の深耕に乗り出す。北米では今夏に塗工機の販売とアフターサービスを開始。エネルギー分野向けには、北米や欧州、アジアで高性能機種の提案を積極化して燃料電池などの関連需要を取り込む。生産増強のための設備投資なども計画し、同社全体の売上高で2031年3月期に24年3月期見込み比46・3%増の600億円、営業利益率で同4・9ポイント増の12%を目指す。
北米は塗工機の販売に加えてアフターメンテナンスや付帯工事なども担う子会社を設立済みで、実際の事業活動を今夏にも始める。
従来の機械の据え付けでは、ユーザーが雇った作業員がヒラノテクシードの指導を受けてから作業する形だったが、今後は可能な限りヒラノテクシードが据え付けなども請け負うターンキー契約を目指す。納入後も子会社で迅速に保守を行えるようになる。
エネルギー関連では燃料電池や全固体電池などの次世代電池向けに加え、リチウムイオン電池(LiB)向け電極塗工機の顧客を開拓する。LiB市場は伸びが鈍化しているが、長期的に欧米やアジアでの需要増加が見込める。
また電気自動車(EV)用コンデンサーや第5世代通信(5G)用短波関連の需要が堅調なことから、積層セラミックコンデンサー(MLCC)やポリイミドフィルムなど電子部材向け塗工機も売り込む。
同社は25年3月期以降、成長投資や他社との戦略的アライアンスにそれぞれ30億円以上を投じる方針。成長投資ではグローバル生産体制の拡充に約20億円、スマートファクトリーやデジタルツイン技術による生産性向上に10億円を計画。また、アライアンス戦略をテコに重要部品の安定確保を図る。
日刊工業新聞 2024年04月19日