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チタン酸バリウムを低温焼結、京セラと米ペンシルべニア州立大が開発した新技術の効果

チタン酸バリウムを低温焼結、京セラと米ペンシルべニア州立大が開発した新技術の効果

低温焼結後の電子顕微鏡写真(日本セラミックス協会提供)

京セラものづくり研究所の佐田貴生係責任者と藤岡芳博部責任者と米ペンシルベニア州立大学のクライブ・A・ランドール教授らは、チタン酸バリウムの低温焼結技術を開発した。加圧しながら焼結すると150度Cで緻密な誘電体を得られる。従来法は700―900度Cの高温が必要だった。温度が下がりポリマーを混ぜて複合材料を作れる。

低温で液体となる材料を混ぜて加圧焼結すると緻密な誘電体材料が得られる。そこで水酸化バリウム八水和物を液相添加材に採用した。350メガパスカル(メガは100万)の圧力をかけながら150度Cで15時間焼結すると密度が95%以上の緻密な誘電体材料を作製できた。225度Cでは1時間半で同様な緻密体を作製できる。焼結工程にかかるエネルギーを節約できる。

従来法は700度C程度まで昇温するか、アルカリ溶融塩を液相添加材に用いる。反応性が高く、ポリマーが分解するなどの課題があった。水酸化バリウム八水和物は条件が温和で混合できるポリマーの選択肢が広がる。

実際にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を混ぜると電気特性が改善した。電気抵抗は1センチメートル当たり1兆オームを超え、低温焼結したチタン酸バリウムよりも4ケタ向上した。新手法はポリマーに加えて、金属や2次元(2D)材料、炭素材料などとの複合化にも応用できる。

日刊工業新聞 2024年03月20日

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