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量子コンピューターの国産化率と性能を高める。NECが「超電導型」試験環境を構築

量子コンピューターの国産化率と性能を高める。NECが「超電導型」試験環境を構築

NECと内閣府は超電導型量子コンピューターのテストベッドを構築する(理研の超電導型量子コンピューター国産初号機)

NECと内閣府は2025年に超電導量子コンピューターのテストベッド(試験環境)を構築する。冷凍機やマイクロ波増幅器などの国産技術を実証する場とする。超電導型は10ミリケルビン(ケルビンは割字)(マイナス273・14度C)の極低温で量子ビットを操作して演算に使う。この回路やデバイスも極低温で駆動させ、超電導技術を利用する。テストベッド整備で極低温デバイス技術の強化につなげる。

内閣府・科学技術振興機構(JST)のムーンショット型研究開発事業としてテストベッドを構築する。25年3月に大阪大学で立ち上げ、同4月からの大阪・関西万博にクラウド提供をする計画。量子プロセッサーは理化学研究所のチップを利用する。基本構成は理研の国産初号機と同じだが、極低温を作る冷凍機にアルバック・クライオ(神奈川県茅ケ崎市)の開発機を採用して国産技術を実証する。現在は海外製の冷凍機を使っていた。

ほかにも国立天文台が量子ビット読み出し用のマイクロ波増幅器、NECと名古屋大学は極低温分波回路などを開発している。要素技術の開発が順調に進んでいるため、内閣府がテストベッド構築の前倒しを決めた。

現在、超電導型は室温に設置された制御装置から極低温に配線して量子ビットを操作している。マイクロ波増幅器の発熱が冷却エネルギーの1%に相当するなど、量子ビットを増やせない制約になっていた。これらの機能を極低温に移して配線を減らすために、発熱しにくい超電導技術でデバイスを再構成している。テストベッドで開発技術を評価実証し、量子コンピューターの国産化率と性能を向上させる。

日刊工業新聞 2024年03月11日

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