ジェフ・ベゾス創業・ブルーオリジンと日本企業初の協業、横河電機の狙い
横河電機は起業家ジェフ・ベゾス氏が創業した宇宙開発会社の米ブルーオリジンと協業する。ブルーオリジンが日本企業と協業するのは初めてという。横河電は計測技術を応用し、宇宙向けライフサイエンス製品などをブルーオリジンに供給する狙い。協業には千代田化工建設も参画する。さらに米航空宇宙局(NASA)への技術提案や欧州企業団体「EURO2MOON」への加盟など欧米との連携を強化し、宇宙事業を本格化する。
ブルーオリジンは米アマゾン・ドット・コム創業者のベゾス氏が2000年に創業し、宇宙開発の主要企業に成長させた。現在、米シエラ・スペースなどと商業宇宙ステーション「オービタル・リーフ」を計画し、20年代後半の運用開始を目指している。
横河電機は国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の宇宙実験用顕微鏡システムに、中核の共焦点スキャナーを納入した実績がある。システム全体は千代田化工が開発した。オービタル・リーフでも同じように製品の供給を想定する。具体的な協業内容は今後詰める。
一方、NASAとの連携については、NASAが月面の資源利用に向けて募集している民間技術の案件に応募した。こうした事例は日本企業では珍しいとみられる。横河電は計測技術を応用し、月面の水を探査する装置を持つ。NASAは今夏に具体的な要求を出す予定で、その要求内容にもよるが、この装置を中心に回答する見通し。NASAが資源探査を実施する際の採用を狙う。
EURO2MOONは仏産業ガス大手エア・リキードなどの欧州企業が21年に設立した。横河電はエア・リキードに酸素・水素製造向け制御システムを長年納める関係を生かし、オランダの欧州統括会社が11社目として団体に加盟した。エア・リキードなど加盟企業に対し探査装置などの供給を目指す。
横河電は19年に宇宙事業参入の検討を始めた。22年に事業化に向けて宇宙事業開発室を設立し、宇宙ビジネスの本場である欧米の企業や団体との連携強化に動いている。