自動車や医療機器など、あらゆる産業と製品を支える仕事 ―独自のモノづくり技術で工業から先端分野に貢献
記者の目/ここに注目
□競合する大手メーカーが一目置く生産技術と製品力
□多分野への事業展開
大手自動車メーカーや最先端の科学技術産業が絶大な信頼を寄せるモノづくり企業がある。日東精密工業だ。特殊な工具やゴム製品成形用金型といったニッチな産業分野の製品を手がけるメーカーで、その生産技術と製品の機能・品質には競合の大手メーカーも一目置く。最新の製造設備を積極的に導入して効率性を高めた環境の構築に取り組む。一方で海外展開も見据えることで成長の青写真も描く。独自技術による製品力という安定した基盤を源泉に、知識・技術と技能を磨くことを目指す堅実なタイプも、世界の舞台で活躍を目指す積極的なタイプもさまざまな人材が活躍できるフィールドを準備している。
良好な事業環境でさらなる発展へ
同社が手がける主要製品の1つ「ブローチ工具」は従来の自動車(内燃機関)の部品を製造するために欠かせない。大手自動車や部品メーカーが主要な顧客だ。また、ゴム製品成形用金型は自動車用のパワーウィンドのパッキンや医療機器向けのゴム栓などを製造する道具だ。これらは一般の人が目にすることはない。しかし、こうした特殊な分野のモノづくりは、実は大きな可能性を秘めている。その1つは「競争相手が多くない」ということ。
国内のブローチ工具の製造メーカーは少なく、「当社以外は重工業メーカーなど、皆大手」と近藤敬太社長は説明する。大手メーカーが競合というと熾烈な競争による厳しい事業環境を強いられそうなイメージがあるが、実際は逆だ。「大手メーカーはニッチな分野に投資しづらく、保有する製造設備は当社の方が最新であることも多い。そのために当社と競合する大手メーカーへOEM(相手先ブランド供給:依頼主である競合社から製品の製造依頼をされること)として、製品を供給している。現に当社のフル供給能力を発揮しても、国内市場のすべてを賄い切れていない。まだまだ売上げや収益性を高める余地がある」(近藤社長)。事業環境は良好で、さらなる発展の可能性を秘めている。事業が成長すれば、社員の給与・待遇にも反映され、豊かで充実した生活を送れることへとつながっていく。
また、ゴム成形用金型は医療機器部品を製造するのに欠かせない。今後の高齢社会の進展を考慮すれば、あらゆる医療機器の需要は高まり、安定した供給能力が求められる。 競合社の数や市場が同社にとって優位な事業環境になりつつある。
堅実なタイプも勇猛果敢なタイプも活躍できる
事業環境が優位なことは十分な魅力だが、「自己の知識・技術や技能を磨く」という観点で考えても同社は可能性を秘めている。
その1つが設備投資だ。マシニングセンタ(MC)や研削盤など、最新の工作機械を積極的に導入する。現場の意向が第一に優先され、最先端の機能を搭載した特殊仕様機など、効率性が高い環境を構築する意識が経営層と共有されている。若くても設備選定に関するプロジェクトに関わりダイナミックに仕事をすることが可能だ。先端技術を駆使し、落ち着いた環境でじっくりとモノづくりに向き合うことを志向する人材には最高の環境が用意されている。
一方で、今の良好な事業環境を享受するだけでなく次への展開も描く。それが海外展開だ。すでにインドネシアの企業との業務提携や中国に工場(合弁会社)を保有する。「じっくりとモノづくりに向き合うことを希望する人材も、大きな舞台で活躍を目指す物怖じしない人材も求める。就職活動がうまくいかなくて悩んでいる人はぜひ当社のことを知ってほしい。その人の良いところを引き出せるように経営層は心がけているし、自分が興味を持っていることに積極的な人を評価する。『頑張る』と言う気持ちがあれば必ずやれるし、やりがいも見つかる」(近藤社長)。
どんな人材も活躍できるフィールドを準備している。
若手社員に聞く
知識や経験がなくてもチャレンジできるチャンス
「インターナルブローチ」という特殊工具の製造の最終工程である「刃付け」を担当しています。自分の工程で完成品になることが誇らしいです。上司から「刃付け工程は命を吹き込むこと」と言われ、気を引き締めています。緊張感はありますが、強い気持ちを持って仕事に向き合っています。 学生時代は、理工学に関する専門的な知識を学んでいたわけでなく、ごく普通の学生でした。知識や経験がなくてもチャレンジさせてくれる雰囲気があるので、明るく前向きな人は楽しく働ける職場です。
頼もしい先輩が支えてくれる
入社試験の面接では、学校生活のことをていねいに聞いてもらえたので、安心して話すことができました。普通科の高校だったので、工作機械の操作経験がありませんでしたが、ちゃんと覚えることができて自信になりました。仕事中はうまくいかないことでも先輩が一緒に考えてくれるので、心強いです。仕事は「サーフェスブローチ」の最終工程を担当しています。特殊な仕様の工作機械を使わせてもらえることも楽しいです。考えていた通りに物事が進んで、製品になったときは非常にうれしいです。志のある方はぜひ当社へ来てください。
会社DATA
所在地 埼玉県大里郡寄居町桜沢1560-16
設立 1966年12月
代表者 代表取締役社長 近藤 敬太
資本金 2430万円
従業員数 110人
事業内容 精密切削工具の製造販売、各種金型製造販売、鋳抜ピン、中子ピン製造販売、
各種切削工具販売、各種工作機械販売
URL http://www.nitto-p.co.jp/