高精度・高速で精密部品を生み出す ―欧米はもちろん中国やインドなどの海外でも大いに存在感を発揮

理工系×企業ジョブマッチング／ツガミ

2024年03月05日教育・キャリア

高精度・高速で精密部品を生み出す ―欧米はもちろん中国やインドなどの海外でも大いに存在感を発揮

記者の目／ここに注目
□精密加工のプロから信頼が厚い独自の製品技術
□活躍の場は世界

日々の暮らしを快適で便利にしてきた時計やパソコン、スマートフォン（スマホ）などの精密機器。これらの高い機能性は、搭載されている精密部品が源泉であり、その精密部品を生み出しているのが、ツガミの工作機械だ。寸法や形状などミクロン単位の精度で加工するCNC自動旋盤やマシニングセンタ（MC）、研削盤の製品群を誇る。工場内のスペースの有効活用と使用時のエネルギー効率の高さが強みの小型工作機械の総合メーカーとして、民生品から産業分野まで、あらゆるモノづくりを支えている。

エンジニア志望者の理想的環境

現代社会の生活に欠かせない各種情報通信機器に搭載される精密部品は、複雑な形状や厳格な幾何公差が要求されるため、機械精度が優れたコンピュータ数値制御（CNC）自動旋盤を使って生産される。ツガミはその主要メーカーの一角を担ってきた。精密電子部品を製造する国内大手メーカーから中小規模の部品加工現場まで、工作機械のユーザーに「高精度」「高速」「高剛性」で安定した品質の部品を量産できる価値を提供してきた。国内の機械加工産業が成熟しつつある昨今は、ワールドワイドにビジネスを展開している。海外のユーザーにも寄り添い、日本発の技術を示して高い評価を受け、プレゼンスを高めている。

日本や欧米向けの高精度で効率性を高めたハイエンドな製品の開発と製造を手がけながら、中国をはじめとした新興国の市場ニーズも確実に捉え、収益力を高めて手堅く事業を展開する。

多様な価値観に触れて成長を実感

主力製品の1つであるCNC自動旋盤では、ガイドブッシュを使う加工とガイドブッシュを使わない高精度短尺部品の加工を容易に切替できるなど、独自の技術開発を手がけ、全世界で評価をされ、独自のポジションを獲得しているツガミ。その中核を担う技術者には国内に留まらず、海外でも力を発揮することを期待する。人材に求めるのは、習慣や文化が違う海外でも臆せず、顧客に献身的に寄り添い、モノづくりを支える意欲だ。採用時の面接では、志望者に海外で勤務する可能性があることを伝える。困難でも前向きに、やり切る覚悟、強い気持ち、たくましさを求める。学歴や経験は問わない。

たとえば、20代の技術系職種の社員が営業技術担当者として海外に赴任し、現地のユーザー・ディーラーに対してサポートや提案を行うなど、若手が海外に赴任することはツガミでは珍しいことではない。

実際に欧州のディーラー向けの営業を担当したことがある長岡工場技術三部第一グループ技師の阿部駿さんは、日本とは異なる価値観を知ったことで学んだことが多く、今も自身の財産になっていると明かす。

「マーケットが違えば、求められる機能と値段などの価値観はさまざまで、設計者として自分が“良い機械”と思って設計しても、ユーザーはもっと別な視点で考えて評価していることを知りました」と振り返る。

自分の知識や経験を活かした製品や技術の開発を志すエンジニア志望者は、専門性を高める努力に加え、異なる価値観や生い立ちを持つ人と一緒に共同で作業を進めたり、日本と異なる環境で働くことになった場合も乗りきる強い精神力を身に付けたりすることを日頃から意識して、取り組んでおくと将来、技術者としても成熟味が増すだろう。人としても大きく成長するチャンスになる。

製品技術や社会環境が変われば、ツガミが置かれる立場も変わる。それでも世の中ではこれからも省エネや効率化など、持続可能なことが重要視されるだろう。そうなると小型工作機械に期待されることが多くなる。そのときにツガミが選ばれるように、経営層も知恵を絞り、手堅く事業を展開しながら、社員が成長を感じられる舞台を用意する。会社の将来性、社員個人が実感できる手応えの両面で、ツガミは大きな可能性を秘めている。

理系出身の若手社員に聞く
多角的な視点で物事を考える

MCの開発・設計や海外営業を担当しました。現在は主に新製品開発や現行の機種の改良を手がけています。やりがいを感じ仕事をしています。海外のディーラーに製品の提案を行う業務を担当したことは今、非常に役立っています。価値観の違いを知り、多角的に物事を考える重要性を知ることができたからです。採用面接のときに「海外で働けますか」と聞かれたことが印象に残っています。学生時に海外経験はありませんでしたが、「はい！」と応えました。覚悟や度胸も評価してくれる会社です。