あらゆる産業分野を支える技術商社 —蓄積してきた専門知識で最適な“組み合わせ”を提案
記者の目/ここに注目
□高度な専門知識を持つFAEが営業活動を支える
□FAEが毎月開いている技術勉強会
光アルファクスは半導体や電子部品を扱う電子デバイス部門を主力に、技術商社として存在感を示す。豊富な商品群とこれらをコンポーネント化して提案できる専門知識、さらに顧客の調達情報をきめ細かく収集し、本当に必要な数を適切な日程で納める「需給の専任部隊」を置いているのが同社の強み。川井啓社長は「半導体不足のこの2年間も顧客の生産ラインを止めたことはない」と胸を張る。
電子デバイス部門が成長を牽引
全社売上高は486億円(2023年3月期)。この75%を電子デバイス部門が占める。残る25%は祖業の社会インフラ部門と、素材などを扱うマテリアル部門が担う。ただ車載機器や民生機器、産業機器など裾野の広さで電子デバイス部門の存在が際立つが、他部門が低迷しているわけではない。
社会インフラ部門は産業機器やIT関連機器、映像システムなどを手がける。自動車部品メーカーや工作機械・産業機械メーカーを顧客に持ち、近年はロボット向けのスマートセンサや工場内物流で使われる金属対応のRFID(Radio Frequency Identification)が売り上げを伸ばしている。一方、素材や成形加工品を扱うマテリアル部門は化粧品をはじめ、多用途でシリコーンの需要が増加基調という。2020年には東京に「マテリアル研究開発室=MRD」を開設し、積極的な顧客支援にも乗り出した。MRDは素材の検証、分析、開発実験を受託する。蓄積してきたノウハウで顧客の製品開発を支え、信頼性向上に貢献するほか、自社製品の開発にも取り組む。「商社で同様のラボを持っている企業は珍しい」(川井社長)。
進む知識の共有。広がる活躍の場
同社ではメーカー出身者を含む技術系社員が営業担当者に伴走して、顧客の技術的な課題を解決に導く。マテリアル部門でMRDの技術系社員がこれを担うのと同様に、電子デバイス部門にはフィールドアプリケーションエンジニア(FAE)、いわゆる技術営業部隊がいる。半導体や電子部品は組み合わせによって特性が変わる。FAEはより省エネ、高い駆動力などを実現する“組み合わせ”を顧客に提案し、開発期間の短縮を支援する役割を担う。
求められるソリューションは顧客によって多種多様。現在、7人のFAEが70人の営業担当をサポートしているが、時間的な制約もある。そこで電子デバイス部門でも近年、理系人材の採用を強化し始めた。FAEにはノウハウと経験が必要だが、2022年からは社内で技術勉強会も開いている。開催は月1回。FAEらがマニュアルを作り、それぞれの得意分野を教授する。併せて社内データベースで伴走営業の成功事例を共有する仕組みも作った。「今いるFAEは年齢的にもベテラン揃い。新たに育てていきたい」と川井社長。この上で「事象に対して疑問や興味を持てる人に来て欲しい。理系の素養には違った視点がある」と話す。
2024年度から3カ年の第2次中期計画が始まる。この次の3次計画の終了は2030年3月末。川井社長は「2030年に売上高1000億円を達成したい」と意気込む。この青写真は鮮明だ。毎年、年度初めに全社員に配るハンドブックにも明記している。「東芝のパートナーとして長年歩んできた当社は『光アルファクス=東芝』の強いイメージがある」(同)。目指すのは東芝製品を核とした取扱商品の拡大、さらにはメーカーの顔を持つ技術商社に姿を変える。2022年には新規事業推進部門が営業担当者の集めてきたニーズを基に災害対策IoT装置などで使う屋外用電源ボックス「アルフィオパワー」を製品化した。これは挑戦の“のろし”だ。「近い将来、『アルフィオの光アルファクス』と呼ばれるようにしたい。理系人材の活躍の場はこれから社内に確実に増えていく」と川井社長は力を込める。
理系出身の若手社員に聞く
社内外で人と関わる営業職に魅力
取引先に商品を提案したり、取引先とメーカーの間に立って納期を調整したり、半導体を中心に電子部品の営業を担当しています。
大学は理系を専攻していましたので研究職などの道も考えましたが、アルバイトを通じて人と接する業務の楽しさを知り、人と直接関わる営業職を志しました。コロナ禍でオンライン中心の就職活動。この中でも当社には温かい社風を感じ、社会に不可欠な半導体が主力というところで心を決めました。
社内のいろいろな人と連携して進める仕事はまさに思い描いたもの。顧客に提案した商品が採用され、売り上げが伸びた時には大きなやりがいを感じています。
会社DATA
所在地 大阪市北区中之島2-2-2
設立 1948年8月
代表者 代表取締役社長 川井 啓
資本金 3億2000万円
従業員数 300人
事業内容 電子・電気機器・素材及び部品の販売、並びに据付・保守等の付帯事業ほか
URL https://www.hikari-ax.co.jp/