トヨタ・ホンダ…乗用車5社が営業益最高更新も、新たに浮上する懸念材料
乗用車メーカー7社の2024年3月期連結業績予想は、過去最高業績の見通しが相次いでいる。売上高は7社全て、営業利益は日産自動車とSUBARU(スバル)を除く5社が過去最高を計画する。半導体不足の解消が進んで生産と販売が回復したことに加え、価格改定や販売構成の改善といった施策の効果が各社の増収増益をけん引。為替の円安も追い風となる。コロナ禍と半導体不足の苦境をくぐり抜けた各社の業績回復が鮮明になっている。
トヨタ自動車は24年3月期の営業利益を11月公表から4000億円上方修正し4兆9000億円とした。4兆円を超えるのは日本企業で初めてとなる。足元ではダイハツ工業や豊田自動織機といったグループ会社の出荷停止の影響が見込まれるものの、23年4―12月期はハイブリッド車(HV)を中心に北米など全地域で販売台数を増やした。HVの好調により、トヨタ・レクサスの販売台数に占める電動車比率は前年同期の27・8%から35・9%に高まった。
ホンダも米国の需要が堅調だ。米国はHVの販売比率が5割程度に高まっているとみられる。藤村英司執行役は「HVは上位モデルで設定して収益性も担保できているし、インセンティブも付けずに済んでいる」としており、収益増に貢献している。日産やマツダ、スバルも北米、欧州などで販売が増えた。
23年度前半に各社が苦戦した中国市場でも好転の兆しがある。ホンダはガソリン車を販売奨励金を使って需要の見込める内陸部などで販売する対策を取っており、4―12月期の販売台数が前年同期比0・5%減まで回復、10―12月期に限れば同24・8%増となった。日産は1―9月期の販売台数は同26・0%減だったが、10―12月期は同19・1%増、マツダも4―12月期に同0・9%増とプラスに転じた。
一方、新たな懸念材料となっているのは東南アジア諸国連合(ASEAN)市場で、タイやベトナムの景気低迷に加え、中国メーカーによる電気自動車(EV)との競争も激しい。4―12月期の販売台数は三菱自が同7・7%減、マツダが同6・5%減、スズキがインドを除くアジア地域で同37・8%減。ホンダもアジアの2輪車の4―12月期の販売台数が同3・5%減となった。三菱自の松岡健太郎副社長が「総需要の弱さが想定を上回り、その状況が長期化するリスクが高まっている」との見方を示すなど、24年度もしばらくは厳しい市場環境が続きそうだ。