廃業免れた店も…「町のケーキ屋さん」ネット通販で支える
ケーキなどスイーツ専門の通販サイト「Cake.jp」を運営するケーキジェーピー(東京都新宿区、高橋優貴社長)は、全国の洋菓子店のオンライン営業をサポートする。「通販運営が難しい、小規模な店もこのサイトに出店すれば、全国の人に商品を届けられる」(松尾慎治執行役員)のが特徴だ。
サイトは全国約1700店が加盟し、ケーキや焼き菓子など約8000商品を販売する。ショートケーキやチョコレートケーキといった定番商品のほか、クリスマスやバレンタイン、母の日などシーズナル商品も扱う。
現在の会員数は約150万人で、会員制交流サイト(SNS)上の口コミを中心に増えている。利用者層は30―40代の母親が多い。例えば子どもの1歳の誕生日、生クリームの代わりにヨーグルトクリームを使ったケーキを購入したいのに近くに売っている店がなく、同サイトを利用するといった具合だ。さまざまなデザインや種類から選択できる上、冷凍で自宅に届くため忙しい人からの評価は高い。
加盟店の大半は「町のケーキ屋さん」とされる小規模店で、細々と営業するところも多かった。同サイトで販売を始めたことで全国販売が可能になっただけでなく、廃棄ロスを削減できた店もある。さらに「当社が企画したアニメなどとのコラボ商品を地方の加盟店に製造委託し、店の売り上げアップも支援している」(松尾執行役員)。売り上げを数千万円伸ばした店もあり、通信販売で売れることで廃業を免れた店もあるという。
ケーキは注文後、冷凍で届く。2023年末に百貨店で注文したクリスマスケーキが崩れた状態で届くトラブルが起こったが、「当社は特許を取得した崩れにくい梱包材を採用して配送している。解凍した時に最もおいしくなるよう、加盟店ともノウハウを共有している」(同)という。
コロナ後の人流回復で店舗を利用する人が増えていることから「サイト強化とリアル販売の両輪で事業展開を図る」(同)計画だ。