全国大学生ビジコン、応募約700件から選ばれた今年の頂点は?
キャンパスベンチャーグランプリ、受賞プランは社会世相を反映
大阪大会
「第17回CVG大阪」のテクノロジー部門最優秀賞に選ばれたのは、大阪大学大学院・立山侑佐さんらの「遠心分離不要の血清分離アタッチメントTIMTY」。血清分離用の特殊なフィルターを内蔵した円筒状の製品で、電動式遠心分離機を導入しにくい被災地や紛争地域での血液検査が迅速に行える。
ビジネス部門最優秀賞に選ばれたのは、立命館大学・芳本大樹さんらの「ICTを利用した認知症予防教室『まなびや』」。認知症予防アプリの開発と、そのアプリなどを使って大学生が予防教室を開き、高齢者と学生の地域コミュニティーを創出する。
その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。
▽テクノロジー部門優秀賞=遺伝カウンセリングのための家系図描画ツール(近畿大学・坂上博俊)
▽ビジネス部門優秀賞=国境を超えた求人・求職プラットフォーム「HRDatabank」(京都工芸繊維大学・丁世蛍)
▽特別賞近畿経済産業局長賞=次世代デバイスを導く超高品質・大口径GaN基板作製技術(大阪大学大学院・谷山雄紀)
▽特別賞北おおさか信用金庫賞=アンビエント社会における次世代型住宅セキュリティシステム「B―PEASE」の提案(大阪経済大学・小林和也)
▽特別賞日刊工業新聞社賞=WELCOME!〜京のおトクなおもてなし〜(京都大学・中西佑)
▽特別賞大阪産業人クラブ賞=YASAInnovation〜生産者にも消費者にも優しい農業革命〜(京都産業大学・西澤恭兵)
▽佳作=ONLINE学園(同志社大学・漣優起)、3Dモデルを利用した新しいレコメンドシステム(阪南大学・谷口浩暉)、Jmov〜三次元ビデオを用いた新感覚多視点動画視聴サービス〜(京都大学・中島慶人)、珪藻を用いた下水中のリン回収技術の事業化(関西学院大学大学院・福本浩兵)
▽奨励賞=GOFITURE(大阪大学・鄭軻)、青春をもう一度〜懐かしのあの場所で〜(関西学院大学・櫻井真琴)、お年寄りと若者をつなぐ老若共栄ぐらし(京都産業大学・悟道真実)、電子工作×おしゃれ女子「Souq by Miss Geek」(神戸大学・平山紗輝)
中国大会
「第14回キャンパスベンチャーグランプリ(CVG)中国」のテクノロジー部門最優秀賞に選ばれたのは、山口大学の山中雄城さんの「救急搬送における救命率向上のためのICTを活用した新医療体制の提案」。既存の救急医療体制の枠組みを越えた医療機関と救急車両に導入する救急搬送支援アプリケーションを提案した。軽症患者を診療所で診る緊急医療体制の仕組みをつくることで、重症患者のみを大規模医療機関に運べるため、より多くの命の救助につながる。
ビジネス部門最優秀賞は、広島大学大学院の伊達文香さんの「途上国の手仕事とファッションショーで目指す女性の自立〜Based on I 自分の力で作る服と未来〜」。”ファッションを通じて、途上国の女性の自立のサポートを行う“をスローガンに起業した。途上国と販売先の日本との間に、服作りを通してコミュニケーションの機会を提供。途上国の女性に雇用と励み、日本の女性には新しいファッションを届けようというソーシャルビジネスを展開する。
その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。
▽優秀賞=ゲーミフィケーションを用いたアプリ開発会社―将棋学習アプリの開発―(広島大学・北村拓也)
▽同=イマジンフィット〜マイ3Dモデルでどんな服でも試着〜(広島工業大学・尾坂甚伍)
▽同=自動精算かごシステム(岡山大学大学院・真鍋友希)
▽特別賞=人工授粉を行う飛行ロボット〔hachi bot〕(近畿大学・佐藤諒)▽同=おもてなしクーポンアプリ「iConnect」(広島市立大学大学院・花房祐貴)
▽奨励賞=次世代しあわせ医療福祉事業(米子文化服装専門学校・青木菜々恵)、良加工性かつ高強度な金属板を製造するための圧延ローラの開発(岡山大学大学院・冨田最)、Hospitable・com(ホスピタブル)〜病院予約で最高のおもてなしを〜(広島工業大学・岩井健吾)、女子大学生による子育て支援サービス(安田女子大学・小松彩香)
▽佳作=法人向けごみステーション(松江工業高等専門学校・出川泰平)、3Dプリンターで想いをカタチにする喜び(安田女子大学・柴田春菜)、参加・疑似体験型の観光案内サイトのビジネスモデル(広島国際大学・木崎直哉)、英単語塾(広島大学・河村大季)
四国大会
「第13回キャンパスベンチャーグランプリ四国」のビジネス部門最優秀賞には、愛媛大学大学院の橋本憲太朗さんの「四国発!日本初!日本製マタニティボックスの販売」が選ばれた。欧州では赤ちゃんが誕生時に子供用品の詰め合わせを贈る習慣がある。そこで、日本製を集めた赤ちゃん用品や四国産だけでそろえた詰め合わせなどを販売、すでに実績も上げている。
テクノロジー部門最優秀賞は、弓削商船高等専門学校の瀬尾敦生さんらの「SmartAIS―小型船舶の安全な航海を支援するシステム―」。船舶自動識別装置(AIS)などの専用の機器に代わり、スマートフォンがあれば簡単に利用できる小型船舶を対象にした航海支援システムを提供する。
その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)
◇優秀賞=車いす用電動昇降フットサポート「フットレイズ」(阿南工業高等専門学校・山下栞奈)
◇同=CanCanヨーグルト(新居浜工業高等専門学校・二宮由利絵)
◇特別賞=廃棄シリコンを用いた水素ガス製造装置(新居浜工業高等専門学校・大野彩香)、利用者参加型オンライン対話スペースMu―Talk(徳島大学大学院・板倉聡史)
◇佳作=いつどこエチケット(香川高等専門学校・岡田加奈子)、松山市北条地区の留学生のための地域交流型シェアハウス作り(聖カタリナ大学・朴基完)
九州大会
キャンパスベンチャーグランプリの九州大会に当たる「第15回大学発ベンチャー・ビジネスプランコンテスト」でグランプリに選ばれたのは、大分県立芸術文化短期大学の尾崎勝也さんのプラン「Molded plywood spring clogs TALARIA」。履き心地を向上させた下駄(げた)を店舗とインターネットで限定販売する内容。造形の知識を生かし、ファッション性と機能性を持つデザインから考えた点などが評価された。審査員からは「新しい時代が来た」とも評された。
九州経済産業局長賞は、熊本大学の今福匡司さん、富永結菜さんによる「質量分析を駆使した革新的な酸化ストレス解析法を基盤とする受託事業」。内容は医療施設からの検体を測定する事業。血中たんぱく質の構造変化を質量分析で解析することによる病態の発症や進展を予測する技術を活用。この測定を健康診断の項目に組み込んで病気の予備軍を見抜く。
その他の受賞テーマと代表者は次の通り(敬称略)。
◇九州経済連合会長賞=地方創生マーケティング事業(崇城大学・白石美嘉、古賀碧)
◇優秀賞=仮想株式会社TOWR(トール)(福岡女学院大学・青谷友香里ほか20人)
◇同=衣類用乾燥促進剤の開発(佐賀大学・中村駿介、近藤美咲、藤瀬清貴)
◇同=次世代のパーソナルモビリティー【Hero Leg】の開発、販売(崇城大学・鈴木智也、後藤みどり、佐渡山祐介、安部光法)
◇同=健康管理モデル―Health Sensing System―(北九州工業高等専門学校・木津祐太郎、穴井達)