ニュースイッチ

都市ガス初、東京ガスネットワークが供給先全戸を遠隔検針

都市ガス初、東京ガスネットワークが供給先全戸を遠隔検針

通信機能を備えたスマートメーター

東京ガスネットワーク(東京都港区、沢田聡社長)は1月から、無線機能を備えた都市ガススマートメーターを供給エリア全域の約1200万戸に導入する。供給先全戸にスマートメーターを導入するのは都市ガス業界で初めて。従来は検針員が顧客宅の敷地内に入り、目視でガス使用量を確認していたが、遠隔検針や災害時の遠隔操作が可能になる。2030年代前半の導入完了を目指す。

家庭向けで広く使われているガスメーターは、マイコンメーターと呼ばれ、95年の阪神大震災を機に設置が義務化された。ガス使用量の計量機能に加え、ガス漏れや震度5以上の地震でガス供給を自動遮断する機能を持ち、保安上重要な役割を担ってきた。

今回のスマートメーターは、このマイコンメーターに無線機能を付加し、「遠隔検針」「遠隔操作」「遠隔データ収集」を可能にする。各メーターには電池で10年駆動する通信ユニットを取り付け、中継器を介して同社のセンターシステムに検針値などの情報が毎日送られる。

現在は検針員が顧客宅を巡回し、メーターを目視して毎月のガス使用量を取得するが、これにより、検針員が敷地内に立ち入る検針作業が不要になる。

また地震による大規模供給停止の際、復旧に先立つ安全確保のため、現在は多数の作業員を動員して一帯のガスメーターを手動閉栓しているが、人手を介さず遠隔で閉栓できるようになる。

さらにガス漏れ時の対応として、通報を受けた作業員は現地に到着次第、ガスメーターを閉栓しているが、スマート化後は作業員の到着前に遠隔閉栓し、火災などの二次災害を防止できる。

東京ガスネットワークは22年4月に東京ガスから独立したガス導管子会社。19年から一部地域でスマートメーターを試験導入(導入率は数%)し、通信やデータ収集機能を検証してきた。今後は10年に1度のメーター検定満期の取り換えや新設時に導入していく。「家庭用から始め、業務用の大容量メーターもスマート化していく」と今井朋男常務は力を込めた。

日刊工業新聞 2023年1月9日

編集部のおすすめ