生成AI活用で業務改革、明治安田生命が挑む
明治安田生命保険は、2024年度に始まる次期3カ年計画で、生成人工知能(AI)の普及を見据えた業務改革に取り組む。営業現場では生成AIを活用した提案活動支援アプリを導入し、顧客の属性に合った提案を行う。契約手続きを担う事務職では、将来的にデジタル化やAIへの置き換えで人手の仕事は減ることを見据え、熟練の事務職員をコンプライアンス(法令順守)対応の管理職に登用する。時代に合った改革を進め、持続的な成長を目指す。
営業現場では、24年10月に約3万6000人の営業職員向けに生成AIを搭載した活動支援アプリ「MYパレット」を提供する。顧客の年齢や性別、職業、趣味などの情報を蓄積。適切なタイミングで顧客に合った保険商品を提案する。明治安田生命の永島英器社長は「営業職員の(顧客との)コミュニケーションを後押しする」と狙いを話す。
事務職では、AIなどによる業務効率化を見据え、各営業所にコンプライアンスや内部管理を担う「営業所総務課長」職を新設し、意欲ある事務職員を抜擢する。24年度で180人を登用し、26年度までに約900カ所のほぼすべての拠点に総務課長を配置する。
明治安田生命は仕事に人を当てるジョブ型ではなく、人の能力や意欲に基づき仕事を割り振るメンバーシップ型雇用を志向する。このため、AIなどの導入で事務作業が効率化されても、「職員の雇用は切らず、新たな領域で活躍してもらう」(同)としている。
現状、事務職員の大半は女性が占める。新設の課長職で事務職員に拠点長とともに管理責任を持たせ、マネジメントの一翼を担わせることで「女性活躍のさらなる推進を図る」(同)狙いもあるという。
日刊工業新聞 2024年01月05日