小糸製作所が設備投資500億円、グローバルシェア拡大へ
小糸製作所は2024年度の設備投資が5年ぶりに500億円規模になるとの見通しを明らかにした。23年度見込み比約5%増となる。インドのグジャラート工場に成形機などを導入して24年3月に稼働し、4輪車向けランプを製造する予定。米国工場の自動化や中国の開発体制構築なども投資計画の柱となる。自動車の世界生産台数が増加傾向にある中、地政学リスクなどを踏まえつつ適切に投資して外部環境に左右されにくい体制を構築し、グローバルシェアの拡大を目指す。
小糸製作所はインド西部向けの製品供給拠点として、グジャラート州に10万平方メートルの土地を取得し新工場を建設した。ただ、新型コロナウイルス感染症の拡大で稼働を見送り、これまで物流拠点として活用していた。
24年3月に工場として稼働した後は、スズキのインド子会社であるマルチ・スズキ・インディアや印タタ・モーターズなどの4輪車向けに、ヘッドランプ、リアコンビネーションランプなどを生産する。他拠点の設備を移設しつつ成形機などを新規に導入し、年産能力は30万台になる見込み。人員も新規に雇用する。
一方、米国ではイリノイ州やアラバマ州に自動車照明機器工場を有しており、人工知能(AI)などデジタル技術を駆使して人手に頼らないモノづくりを推進する。工場内の物流自動化やAIカメラを用いた検査工程の無人化、ロボット活用、複数の工程を統合した合理化施策などを検討中だ。
市場が大きく今後も生産量の伸びが期待できることから、合理化を進めて大きな投資効果を創出する。小糸の加藤充明社長は「最終的には材料投入から完成品の構内物流までを自動化でつなげたい」と構想を語る。
日系車メーカーが急激な電動化の波に押される中国では、現地メーカーの取り込みを強化する。27年度をめどに、中国事業の売上高のうち現地メーカー向け販売比率を30%(23年度見込みは10―15%)に引き上げる。現在は新興電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)やEV大手の比亜迪(BYD)を中心に取引がある。
他の現地メーカーとの取引拡大に向け、日系よりも早い開発サイクルや現地で好まれるデザインなどへの対応を充実する。「現地メーカーに『小糸しか組む相手はいない』と思っていただく」(加藤社長)ため、関連する人材や設備を拡張する。
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