特別損失1230億円…関電が和歌山の火力建設を中止する背景
関西電力は19日、和歌山市内の液化天然ガス(LNG)火力発電所建設計画を中止すると発表した。高西一光執行役常務が和歌山県庁と和歌山市役所を訪問し、方針を伝えた。電力需要の低迷と、大規模な送電線構築などのコストを考慮し、事業採算性が合わないと判断した。2026年度をめどに、計画地約94万6000平方メートルのうち約15万平方メートルを先行し企業誘致エリアとして整備する。
24年3月期に土地取得費用などの関連で約1230億円の特別損失を計上。同計画は住友金属工業(現日本製鉄)の埋め立て地で1995年に検討開始。出力370万キロワットで、同社の火力発電所として最大規模となる予定だったが、需要低迷などにより2004年に工事を中断していた。長期脱炭素電源オークションでの建設費用調達も想定したが、大規模な送電線の構築で規定の期間内に稼働することが難しく、適用できないと判断した。
姫路第一発電所ガスタービン1、2号機(兵庫県姫路市)を24年3月末、関西国際空港エネルギーセンター1、2号機(大阪府田尻町)を26年3月末にそれぞれ廃止することも発表。森望社長は既存・計画中の発電所について「原子力発電所が動いた分、余裕が出ているのは事実。廃止するべきものがあれば廃止する」としていた。
日刊工業新聞 2023年12月20日