東レ・JX金属・帝人…高付加価値品に商機あり、広がる資源循環のブランド・枠組み
素材各社において、リサイクル原料の利用拡大や、資源循環のブランド・枠組みを展開するなどの事例が広がった。製品の観点からも、サステナビリティー(持続可能性)の実現が求められている。
東レは回収PETボトルを繊維原料として再利用する事業ブランド「&+(アンドプラス)」をリブランディング。4月に本格生産を始めた、回収漁網由来成分を一部使用したナイロンリサイクル繊維製品をラインアップに加えた。
JX金属では、同社が打ち出す銅の資源循環に向けた連携体制の「グリーン・イネーブリング・パートナーシップ」を米インテルと構築した。スパッタリングターゲットのほか、今後は半導体製造に用いられるその他の銅関連素材でもリサイクルの可能性を検討する。「従来からも資源循環の取り組みは進めているが、それをスキームとして明らかにするという需要が高まっている」と諏訪邉武史執行役員は話す。
マスバランス方式でバイオマスや再生材料などに由来する製品を適切に管理・担保する認証制度の「ISCC PLUS」の取得に向けた動きも加速。帝人は三島事業所(静岡県長泉町)で生産する炭素繊維とその材料、東レは仏子会社の2工場で生産する炭素繊維で同認証を取得した。
リサイクル技術の観点では、UACJと東洋製缶が、製造工程の温室効果ガス(GHG)を約4割削減した飲料缶用のふた「EcoEnd(エコエンド)」を開発。飲料缶のふたは材料の加工性や強度などの面から、従来約66%の新地金が使われていたが、両者の技術を組み合わせることで、ふたの品質を保ちながらも新地金の使用量を約25%まで低減することに成功した。
顧客の要望に応じて、順次利用を広げていくが、東洋製缶が国内で販売する現行の飲料缶ふたが全て同製品に置き換わった場合、GHG排出量は年約14万トン削減される見通しだ。脱炭素化に向けて、各社の技術開発力も問われている。
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