ラピダスがEUV露光装置導入…技術者300人年内確保、米IBMなどに派遣
次世代半導体の量産を目指すラピダス(東京都千代田区、小池淳義社長)は、北海道千歳市に建設中の工場で微細加工に不可欠な極端紫外線(EUV)露光装置を2024年末に導入することを決めた。併せて23年内に技術者ら約300人の社員を確保する見通しも明らかにした。雇用した技術者を協力関係にある米IBMやオランダのASMLなどに派遣し、25年春の試作ライン稼働までにEUV露光装置の技術などを習得させる。
EUV露光装置の供給は半導体装置メーカーのASMLが独占している。7ナノメートル(ナノは10億分の1)以降の回路の微細なパターンをウエハー上に転写露光する技術として、先端半導体製造に不可欠となる。日本国内では米マイクロン・テクノロジーが広島県で25年以降に立ち上げる工場で導入を見込む。
ラピダスは回路線幅2ナノメートル以下という世界最先端のロジック半導体を27年に量産する目標を掲げる。北海道千歳市で1棟目の工場を9月に着工しており、2棟以上の建設を想定している。ラピダスは22年8月の設立当初からASMLと協力関係にあり、ASMLは千歳市で技術の支援拠点の設置も計画する。
またラピダスは技術者を中心に採用を急ピッチで進めており、毎月約30人が入社しており、半導体の量産開始までに約1000人の技術者を確保する計画だ。23年内には100人程度の技術者を提携先の米IBMの最先端半導体研究開発拠点「アルバニー・ナノテク・コンプレックス」に送り込み、EUV露光装置などによる2ナノメートル半導体の製造ノウハウを取得する。
併せてASMLのほか、提携するベルギーの半導体研究国際機関であるimecなどにも社員を派遣し、最先端の技術を積極的に学び、試作や量産に結びつけていく。
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日刊工業新聞 2023年12月04日