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パワー半導体市場本格参入へ、セラテックジャパンがファインセラミックスの加工能力1.5倍

パワー半導体市場本格参入へ、セラテックジャパンがファインセラミックスの加工能力1.5倍

新工場(G棟)

セラテックジャパン(長野市、平林明社長)は、パワー半導体市場への本格参入を見据えた新工場を本社敷地内に14日完成した。これにより同社全体のファインセラミックスの加工能力を2026年度までに現状の1・5倍に高めるとともに、電気自動車(EV)などの普及で市場が急拡大しているパワー半導体向け炭化ケイ素(SiC)ウエハー加工の新規受注の獲得を目指す。設備費などを含む総投資額は約30億円。

新工場は鉄骨2階建てで、延べ床面積は約2800平方メートル。切断加工機などの各種加工機を導入し、SiC単結晶の切断から、研削、研磨までの工程に対応する。試作やテスト稼働などを経て、24年4月ごろをめどに順次稼働する計画。従業員も20人程度増員する予定で、26年度に売上高45億円(23年度約27億円)を目指す。

セラテックジャパンは本社敷地内に新工場を含む7工場を有し、ファインセラミックスの切断から研削、研磨、成膜までの一貫加工を手がける。新工場建設を機に新事業のパワー半導体向けSiCウエハー加工の推進と同時に、既存のセラミックス加工事業の強化も狙う。将来的には窒化ガリウム(GaN)や酸化ガリウム(Ga2O3)といった次世代の素材の加工も視野に入れる。

平林社長は「これまで培ってきた技術で、材料を選ばずに加工できるのが当社の強み。パワー半導体市場ではSiCが主流と見ているが、あらゆる分野、素材にも対応できる環境を整えている」としている。

日刊工業新聞 2023年11月14日

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