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東京海上日動・三井住友海上…個人配送業者の支援に注力する大手損保の目論見

東京海上日動・三井住友海上…個人配送業者の支援に注力する大手損保の目論見

東京海上の個人配送事業者向けプラットフォーム利用イメージ

大手損害保険会社が個人の配送事業者向けの支援に力を入れている。東京海上日動火災保険は電子商取引(EC)事業者と連携し、配送事業者が割安な給油サービスなどの特典が受けられるプラットフォーム(基盤)を構築した。三井住友海上火災保険はベンチャーなどと連携し効率配送や資金調達を支援する。大手物流会社の人手不足を補う存在として個人の配送事業者への期待が高まる中、支援を通じ接点を強化。将来的に自社の自動車保険の拡販につなげる。(大城麻木乃)

東京海上は、第1弾としてアマゾンジャパン(東京都目黒区)と連携し、アマゾンが業務委託契約を結んだ個人の配送事業者向けに基盤サービスを提供する。給油やタイヤ購入の費用が数割安くなる。東京海上の保険契約者でなくても利用可能で、サイトの利用料は無料。

同社は基盤への参画企業を増やして稼働頻度の向上に努めると同時に、個人配送事業者の運転性向などのデータを参考に、そのリスク状況に応じて利用できるサービスが変動する新たな仕組みを導入する予定。また3月に営業を始めた子会社「Tokio Marine X(トキオ・マリン・エックス)少額短期保険」などグループ会社とも連携し、個人配送事業者の業務を支援する新たな保険・サービスも開発していく。

三井住友海上火災保険は共同配送管理システムのウィルポート(東京都中央区)、個人ドライバー向けオートリースサービスのインパクトサークル(同港区)と業務提携。三井住友海上の自動車保険のデータなどを活用し、1人のドライバーが短時間により多くの配送を行える環境づくりに取り組む。

三井住友海上は、ドライブレコーダーの事故データや事故多発エリアの分析などにより安全運転を支援。ウィルポートは自社の共同配送管理システムを活用して異なる荷主間の伝票を一元管理し、人工知能(AI)による配送ルーティング機能も活用して効率的な荷物の配送に協力する。インパクトサークルは、ローン審査が通りにくい個人ドライバー向けにオートリースで車両を提供する。第1弾として、軽貨物事業を行うファーストライフ(札幌市中央区)向けに3社が連携したサービスの提供を始めた。

損害保険ジャパンも配送プラットフォームの提供事業者と連携し、個人の配送事業者向け保険の提供を始めている。

コロナ禍を経てECによる商品購入が急速に広まり、小口配送を担う個人の配送事業者の存在感が増している。個人の事業者は収入が不安定だったり、補償が十分な保険に加入できていなかったりする課題を抱えることが多い。損保各社は、こうした課題をすくい上げ、解決策を提供し、自社の保険やサービスの普及を狙う。


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日刊工業新聞 2023年11月07日

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