日本郵船・商船三井・川崎汽船…海運4-9月期は経常大幅減益、響くコンテナ船の反動
海運3社の2023年4―9月期連結決算が6日までに出そろい、全社が減収、大幅な経常減益となった。3社の共同出資会社が行うコンテナ船事業において、コロナ禍で高騰していた市況が落ち着き下落したため。ただ、異常なまでの好業績だった22年4―9月期に対し大幅減益は想定の範囲内。堅調なエネルギー関連や自動車輸送に加え、円安効果により、3社とも上期経常利益予想を上振れて着地した。
6日発表した日本郵船の23年4―9月期連結決算は、売上高が前年同期比14・5%減の1兆1683億円、経常利益が同79・2%減の1592億円となった。「(コロナ禍の)特殊要因がはく落し、大きな下落となったが、サプライズではない」(曽我貴也社長)と説明した。
コンテナ船は北米での在庫積み上がりや欧米のインフレなどの影響を受けて貨物需要が低迷し、市況が下落した。新規造船の竣工による船腹供給量の増加の影響も受けた。また中国の景気低迷でドライバルク船も高市況だった前年を下回った。
24年3月期は3社とも前期比で減収、大幅経常減益を見込む。日本郵船は経常利益を前回予想から上方修正し、商船三井と川崎汽船は据え置いた。日本郵船の上方修正は今期2回目となる。3社とも、好調な自動車船やエネルギー関連がコンテナ船の下振れをカバーする格好で「今回さらに(利益を)上積みできた」(日本郵船の曽我社長)。
コンテナ船事業は、3社とも経常利益を下方修正した。期初時点で下期からの荷動き回復を予想していたが、現在も低迷が続く。
前年の利益が超高水準だったため、重要なのは中期の経常利益目標との比較だ。日本郵船は27年3月期に2700億円、商船三井は26年3月期に2400億円、川崎汽船は27年3月期に1400億円を目標とする。24年3月期はコンテナ船が低調な中で順調に進展したといえそうだ。
ただ、不透明な世界の政治経済の情勢は大きな懸念だ。「中国経済の減速懸念は、以前より注意深く見守る必要がある」(川崎汽船の山鹿徳昌常務執行役員)、「中東情勢によっては変則的な物流が生じる」(商船三井の橋本剛社長)。安定収益体制の構築に向けて正念場となる。
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