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引き合い強まる「ノーコード」、NTTデータ・SCSKなど提供加速

引き合い強まる「ノーコード」、NTTデータ・SCSKなど提供加速

プログラミングの知識が少なくても手軽にアプリを開発できる仕組みが求められている(イメージ)

情報サービス各社が、プログラミングの知識が少ない人でもアプリケーションを手軽に作成できる「ノーコード/ローコード」関連サービスの提供を加速している。ソースコードを一から記述する従来の方法に比べ、開発の効率化が可能。ユーザー企業にとっても、内製化によるコスト削減などの利点がある。企業がデジタル変革(DX)を進める上で直面するIT人材不足の解消という側面からも、引き合いは強まりそうだ。(狐塚真子)

NTTデータは、スマートフォンやタブレット端末から利用できるオンライン上の仮想店舗について、プログラムを書かないノーコードで構築できるサービスを、農業協同組合(JA)に今秋から提供する。

販売精算書や購買請求書の送付といったJA事業特有の業務に対応するプリセット機能に加え、画面操作のみで、提供したい業務や各JAの運用に合わせた機能の構築が可能なカスタマイズ(個別対応)機能を提供する。各メニューの利用状況の監視や分析もできるため、柔軟な改善が可能。JAグループが課題とする、組合員や利用者との接点強化に寄与する。

SCSKは、同社のノーコード開発ツール「CELF(セルフ)」と、ミロク情報サービスの中堅企業向け統合業務パッケージ(ERP)「Galileopt DX(ガリレオプト・ディーエックス)」とのデータ連携ソリューションを5月に提供開始した。

セルフは、表計算ソフトのような操作でウェブアプリを作成できるクラウドサービス。予算実績管理や見積もり、案件管理などの業務システムをプログラミングせずに開発できる。今回の施策により、これらの業務に必要なデータをガリレオプトから取得・連携できるようになった。従来、手作業で行っていたデータの転記、修正などの業務が自動化されることで、経営状態の迅速な把握や意思決定を可能にする。

このほか、TISはコールセンター業務などに活用できるチャットボットをノーコードで構築できるSaaS(サービスとしてのソフトウエア)型プラットフォーム(基盤)「DialogPlay(ダイアログ・プレイ)」を展開。日鉄ソリューションズは6月、最小限のプログラム作成で開発可能なローコード基盤を提供する米ペガシステムズ(マサチューセッツ州)と戦略的パートナーシップを締結した。 IT調査会社のIDCジャパン(東京都千代田区)が2021年9月に実施した、国内企業におけるノーコード/ローコード基盤の導入状況に関する調査では、485社のうち37・7%が導入していると回答。20年8月の8・5%(調査対象は435社)を上回る結果となった。 DXを進める上では環境変化への柔軟な対応や迅速なシステム構築が重要になる。日本で長年の課題になっている国内IT人材不足への対策という観点からも、ノーコード/ローコードのニーズが高まりそうだ。
日刊工業新聞2022年9月2日

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