建機生産台数を倍増へ、クボタが中型機に参入する背景
クボタは10月31日、建設機械事業説明会を開き、中型建機などの市場に新規参入する方針を示した。第1弾として、中・大型建機を主力とする住友建機と建機のOEM(相手先ブランド)供給で協業に向けた検討を始めた。併せて北米向けの小型建機のラインアップも拡充し、今後5年で生産台数を倍増させる。これらにより、2028年の建機事業売上高を22年比約2倍の1兆円と5年前倒しで達成する考えだ。
クボタは住友建機から14トンの油圧ショベルの供給を受け、自社ブランドとして販売する検討を始めた。具体的な販売台数などは24年内に詰める。まずは欧州での展開を想定する。またクボタは海外向けの小型建機を住友建機に供給する。
クボタは6トン未満のミニバックホーや市街地の道路工事などの運搬、掘削で使われるコンパクトトラックローダー(CTL)、スキッドステアローダー(SSL)など小型建機を主力とする。一方で、工事現場での多様な要望が増えていることなどを背景に、製品ラインアップの強化が課題となっていた。今回の他社との協業を皮切りに、今後20トン以下の油圧ショベルや、バックホーローダーなど新領域の市場への参入を加速させる。
また北米向けのCTLや、SSLなどの製品ラインアップを現在の6モデルから13モデルに拡充する。「ベンチマークとしている米国の建機メーカーボブキャットの製品ラインアップに合わせてクボタもそろえていく」(湯川勝彦常務執行役員)戦略を掲げる。
特にCTLは、ベルト型の「クローラー式」で安定性や掘削力が高く、北米の積極的なインフラ投資を背景に需要は底堅いとみる。現在、堺製造所(堺市堺区)と米カンザス州の生産拠点を合わせて年間2万4000台生産しており、今後5年で約1・9倍の4万7000台に引き上げる。 建機事業の28年売上高1兆円のうち、北米が7割、欧州が2割ほどを想定する。将来はインドでの事業拡大も目指す。
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