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三菱倉庫・日本通運・日本IBMも…医薬品物流でブロックチェーンを利用する効果

三菱倉庫・日本通運・日本IBMも…医薬品物流でブロックチェーンを利用する効果

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物流業界でブロックチェーン(分散型台帳)技術の利用が広がり始めた。厳格な温度管理など要求品質の高い医薬品物流が先行しており、三菱倉庫や日本通運、日本IBMなどが取り組む。ブロックチェーンはネットワーク参加者が取引履歴を共有し、情報が改ざんされにくいことが特徴で、複数業者を経由する供給網の情報を正しく管理できる。偽物の混入防止や輸送品質の向上が期待される。(梶原洵子)

三菱倉庫の医療用医薬品物流プラットフォーム「ML Chain」のイメージ

三菱倉庫は、ブロックチェーンなどを使った医薬品物流の情報基盤「MLチェーン」を2022年から運用している。物流の過程での医薬品の位置や温度などの情報を可視化し、高度な品質管理を行う。「適正な温度を逸脱すると効果が落ちる医薬品もあり、厳格な温度管理が必要だ。偽物の混入対策や管理の厳しい劇薬もある」(斉藤秀親社長)ためだ。

温度は24時間モニタリングし、適正な温度域を外れるとアラートを出したり、遠隔で制御したりできる。

現在、医薬品の工場から物流センター発の配送まで可視化しており、今後、この範囲を卸倉庫や病院に拡大を目指す。これに向け、医薬卸のメディパルホールディングス(HD)と実証実験を行っている。病院を含む供給網全体をカバーすることで「全体最適を考えて在庫管理を行える」(同)といい、在庫の削減や在庫の偏りの解消に役立ちそうだ。

日本IBMは、医薬品の流通経路や在庫を可視化する情報基盤「医薬品データプラットフォーム」の運用検証を4月から開始した。同基盤は、製薬企業や医療機関など約20社と設立した共同事業体「ヘルスケア・ブロックチェーン・コラボレーション(HBC)」と検討してきたもの。HBCに参加する塩野義製薬武田薬品工業などと協力して行う。

日本通運も医薬品物流において、米インテルと共同開発したIoT(モノのインターネット)デバイスを活用し、取得した温度情報などをブロックチェーンで管理していく。

医薬品以外でも、ブロックチェーンの活用が進む。三菱ケミカルNTTデータ、ヤマト運輸などが参加する「スマートフードチェーンコンソーシアム」は、農産物輸送向けのデータ連携システムを開発している。生産者や物流倉庫などで輸送経路や輸送時の温度、衝撃などをブロックチェーンで記録。品質担保や消費者への情報発信に活用する。現在、検証を進めており、国産農産物の価値を高め、輸出拡大やフードロス削減につなげる。

このほかにアパレルなどのブランド品の偽物対策として、正規品に特殊なタグを付け、流通経路でタグの真贋判定結果をブロックチェーンで管理する取り組みもある。物流品質の向上に向けた貢献が期待される。

日刊工業新聞 2023年10月31日

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