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東京海上「日本で一番人が育つ会社」へのレッスン

世界で通用するスペシャリストを作る
東京海上「日本で一番人が育つ会社」へのレッスン

働き方の変革に向けアイデア出しが進む(北関東・信越損害サービス)


人事を統括、大場肇常務執行役員に聞く


 ―「日本で一番人が育つ会社」というメッセージを掲げました。
 「保険は人の思いが商品を形作り、人の成長が会社を支える。当社はもともと、人を育てる文化は根付いているが、日本で一番かというとまだやるべきことがある。特定の従業員ではなく全従業員が成長する幅、この総和が日本一と言われる会社を目指したい」

 ―人材育成で重視することは。
 「成長する上で大事なことは『こうなりたい』という姿を描き、仕事をすること。『育つ側』の成長への思いに対し、『育てる側』の上司は部下に期待し、鍛え、活躍の場を与えていくよう求めていく。育て方もOJTに過度に依存せず、場面に応じて部下とどう対話したらいいかをまとめた実践本を作成し、上司必携にしている」

 ―4月に新しい人事制度が始まります。
 「従業員の成長を人事制度が後押しできるよう一体化を図るのが最大の狙い。評価も発揮されている能力を軸にする。例えば勤務地を問わない『グローバル』、限定する『エリア』を設けた。昇格条件はコースによって分けず、同じ能力が発揮されていれば同じように昇級していく」

 「『エリア』の中には一定のエリア内で勤務地を選択できる『ワイド』を設け、多くの経験を積めるようにする。もちろん、育児や介護で家族と一緒に住まねばならない状況も生じる。その時は通常の『エリア』を選択できる。仕事をする上で制約が生じないよう制度を運用していく」

 ―海外企業の買収でグローバル化が進んでいます。人材育成における課題とは。
 「日本人従業員、買収先のローカル従業員の両面で人材育成を進めていく。ただ、重要なのは企業理念を共有すること。同じ東京海上グループでも国や文化が違う中で人事制度をいきなり同じにはできないし、規制も国ごとに異なる。当社が掲げる『グッドカンパニー』、つまり『いい会社をつくろう』という思いを共有することにも力を入れていきたい」
(文=杉浦武士)

 
日刊工業新聞2016年3月8日/9日/10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
保険業界は人とシステムで成り立っている業界。他業界に比べて、ひとりひとりの人の重要性は高いと言っても過言ではありません。損保グループ国内最大手の同社の意取り組みはもちろん、追撃する業界他社の動きも気になります。

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