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「ムーンショット」で開発支援…「核融合」実現へ打ち出す策

文科省が技術開発の最終とりまとめ案
「ムーンショット」で開発支援…「核融合」実現へ打ち出す策

国際熱核融合実験炉(イーター提供)

文部科学省は19日、核融合発電における炉の小型化などの技術開発に関する最終取りまとめ案を公表した。2035年までに熱利用など電気に限らない多様なエネルギー源として核融合の活用を目指す。政府の大型支援事業「ムーンショット型研究開発制度」を活用し、早ければ24年にも公募を始める。政府が10月末をめどにまとめる経済対策に盛り込む考えだ。

19日開催の文科省の有識者検討会「核融合の挑戦的な研究の支援の在り方に関する検討会」で、最終取りまとめ案を示した。

案では35年までにエネルギー源として活用するほか、医療や宇宙で応用する目標を掲げた。50年にも小型の核融合システムの実現を目指すとした。

ムーンショット型研究開発制度による支援を想定する。核融合技術を使った海洋推進器など社会実装モデルごとにプロジェクトを組成する。超電導などの重要な技術については個別にプロジェクトを設ける。

文科省はこれまで核融合になじみのなかった研究者を巻き込み、核融合研究の裾野を広げたい考えだ。政府が建設する予定の原型炉にも技術を生かす。

文科省は日本も参加する国際熱核融合実験炉(イーター)や量子科学技術研究開発機構(QST)が建設するJT―60SAなどで「トカマク方式」を中心に研究を進めてきた。一方、欧米のスタートアップはトカマク方式ではない炉系の開発を進め、30年代に発電能力の実証を目指している。

ムーンショット型研究開発制度は「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT〈インパクト〉)」の後継施策。かつて有人月面着陸を実現した米国の「アポロ計画」のように、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発を推進する事業だ。これまでに九つの目標に基づく研究開発が進んでいる。

日刊工業新聞 2023年10月20日

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