固定観念を覆す!不二越が切削加工向けバリなし工具
不二越は切削加工時に発生する「バリ」を極小化できる工具を開発した。バリの発生を抑える新形状を見いだし、実装した。バリ取り工程が不要になることで、ユーザーは加工時間の短縮による生産性向上や、バリ取り用工具の購入費低減による生産コスト削減などにつなげられる。「バリは必ず発生する」という固定観念を覆す技術として訴求する。
新シリーズ「バリレスシリーズ」として12月21日から国内外で発売する。ドリルとタップ、エンドミルの3種類をそろえ、タップについてはバリを完全になくすことに成功した。シリーズ全体で初年度に年3億円、3年後に年10億円の売上高を目指す。
バリレス工具の形状は工具の種類によって異なるが、ドリルタイプでは従来の汎用ドリルに比べて先端の刃先を鋭角にして振れを抑制。外周の形状も切削抵抗が小さくなるようにし、ドリルがワーク(加工対象物)を抜ける際、バリを細かく分断・切除しワークに残さない構造を取り入れた。こうした新形状によってバリの高さを0・01ミリメートルとほぼゼロに近づけ、ワークの仕様次第ではバリ取りの二次加工を不要とできる。
電気自動車(EV)の普及に伴い需要増が見込まれるモーターシャフトは、穴が縦軸と横軸で交差するクロス穴加工が施される。こうした加工が施された部品は、バリがワーク内部に発生するため、バリ取り作業に手間がかかる。
不二越のバリレス工具はこうした課題にも有効で、切削速度を従来より遅くする必要もなく、寿命も汎用ドリルと同等以上という。
価格は、直径6ミリメートル、全長82ミリメートルの寸法の場合、ドリルは1本1万1700円(消費税抜き)。今後、対応可能な被削材の種類を増やし、ラインアップを順次拡充する方針。
不二越はバリレスシリーズを18日からポートメッセなごや(名古屋市港区)で開かれる工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2023」に出展する。
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