阪大が開発したロボ用光学式センサーがスゴい!
大阪大学の小山佳祐助教と原田研介教授らは、光が透過したり反射したりするガラスやプラスチックなどの部品を滑らかに把持するためのロボット用光学式近接覚センサーを開発した。指先に発光ダイオード(LED)と受光素子を搭載し、反射信号を計測して把持対象の面の向きを推定する。光を反射するパウチ包装品や透明な試験管などをロボットが扱いやすくなる。
ロボットの指先に近接覚センサーを搭載する。受光素子を囲むように八つのLEDを配置。LEDを光らせると、把持対象に反射した光が受光素子に届く。このとき面の角度に応じて反射光の強度が変化するため、面の向きを推定できる。
ただ、透明な素材は反射が弱い。そこで応答量が少ない場合は回路を切り替えて増幅する。さらにプラスチックの表面処理の違いなどによって反射光の広がり方が変わる。これを独自技術で対応させた。対象ごとにパラメーターを変更せずに済む。距離は2・5ミリ―20ミリメートル、角度はプラスマイナス20度の範囲で距離と角度が測れる。
計測途中で強力な光を当てるなど、ノイズを与えても機能する。つまり把持途中に試薬瓶へ試料を注いだり、液面が動いても問題ない。透明なガラスや鏡は光学式センサーで扱うのが難しかった。
新技術は大学発ベンチャーを設立して事業化する。ロボットハンドに用いると、フィルム包装された光沢部品、クーラントや油で濡れた機械部品などの把持に役立つ。ほかにも車載機器のインターフェースや工場での検査などに提案していく。
日刊工業新聞2021年9月17日