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スマホ・通信基地局の日本製低迷…情報通信技術財が輸入超過に

スマホ・通信基地局の日本製低迷…情報通信技術財が輸入超過に

IOWNグローバルフォーラムは着実に参加企業・団体を増やしてきた

情報通信技術(ICT)財の輸入超過拡大に歯止めがかからない。総務省がまとめた2023年版「情報通信白書」によると、21年のICT財の輸入超過額は前年比15・2%増の3兆9000億円だった。携帯電話や通信基地局などで日本製品の低迷が続いていることが背景にあり、為替の円安傾向に伴う輸入超過額の増加も予想される。他方で電子部品をはじめとして一定のシェアを持つ分野もあり、今後の競争力強化に期待がかかる。

ICT財の輸出入額(名目値)

ICT財は05年時点では輸出超過であったものの、その後の輸出の減少と輸入の増加に伴い、近年は輸入超過の傾向が続いている。世界の情報端末の出荷額がスマートフォンを中心に伸び、22年には前年比15・8%増の92兆2574億円となった一方、日本の情報端末の生産額は低迷。22年は同7・7%減の9567億円だった。品目の内訳はデスクトップ型パソコン(PC)やノート型PCなど。スマホで存在感が乏しいことが低空飛行の主因と言えそうだ。

日本の製品が国際競争で苦戦している例として、通信基地局のシェアが挙げられる状況も変わっていない。22年の出荷金額ベースのシェアは首位の中国・華為技術(ファーウェイ)が31・6%。2位はスウェーデンのエリクソンで25・3%、3位がフィンランドのノキアで17・5%。日本企業は合計で2・3%にとどまる。情報通信白書は「日系企業の国際競争力は低い」と手厳しい。

基地局に限らず、ICT分野の国際競争力向上には企業の研究開発活動の強化が必要になるが、国内事業者の研究開発費の規模は他国に比べて心もとない。日本の大手通信事業者の21年の売上高に対する研究開発費の比率はNTTが2%、KDDIソフトバンクは1%未満。他方で米IT大手5社のGAFAMは6―21%と、大きく差が開いている。

ただ、単純な研究開発費の多寡が将来を決めるとは限らない。NTTは次世代光通信基盤の構想「IOWN(アイオン)」推進に当たり、ソニーや米インテルと共同で国際団体の「IOWNグローバルフォーラム」を20年に設立。23年4月時点で参加企業・団体が約120に達するなど、着実に協業相手を増やしてきた。コンセプトが明確な技術戦略を掲げて実力のある“仲間”を集めていければ、高い成果を挙げることも夢ではない。

また、一定の評価を得ている日系企業の得意分野が電子部品だ。情報通信白書によると、携帯基地局やスマートフォンなどに組み込まれている電子部品市場(売上高)では21年時点で世界の34%のシェアを占めると見込まれており、「(第5世代通信〈5G〉の次の世代である)ビヨンド5Gに向けた潜在的な競争力は有していると考えられる」。

NTTのIOWNもビヨンド5G時代を見据えた戦略と言える。日本企業が将来の勝ち筋を見いだし、その結果としてICT財の輸出額が反転することが期待される。

日刊工業新聞 2023年09月19日

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