水素ガスでセラミックス焼成、成田製陶所が成功した!
成田製陶所(愛知県瀬戸市、成田昌臣社長)は、水素ガスを100%使用したセラミックスの焼成に成功した。通常、LPガスで焼成している実際のアルミナ製品を新型水素用ガスバーナーと新型高温焼成用テスト炉を用いて焼成し、一定レベルで焼成できることを確認した。セラミックス製造工程の脱炭素につながる。
今回の実験での焼成温度は1600度C。焼成したアルミナ製品は、厚さ10ミリメートル、直径60ミリメートルのテストピースと業務用ガス給湯器の点火プラグ。温度コントロールや焼成条件を変えることで焼成に成功した。
水素用ガスバーナーとテスト炉は、成田製陶所の子会社で工業用ガスバーナーや焼成炉を手がけるナリタテクノ(愛知県瀬戸市)と、セラミックスの製造販売や工業炉の設計施工を行うヨータイ(大阪府貝塚市)が共同で開発し、特許を出願している。
一般的にアルミナは高い温度帯で焼成するため、ガス炉を用いることが多い。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の潮流を受け、成田製陶所は化石燃料を使用しているセラミックスの焼成工程に着目し、2023年1月ごろから水素での焼成実験を始めた。
水素ガスを使用するためのインフラ整備が進んだ際に即応できるよう、今後も複数の焼成パターンや焼成温度で実験を重ねる予定だ。同社はセラミックス部品やガス燃焼機器を製造・販売し、ガス・石油用の点火プラグとフレームロッドでは国内で高シェアを握る。
日刊工業新聞 2023年07月27日