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電子回路インダクター、1万分の1に小型化.。原子力機構が新原理

電子回路インダクター、1万分の1に小型化.。原子力機構が新原理

インダクターを1万分の1に小型化する新原理

日本原子力研究開発機構の荒木康史研究副主幹と家田淳一研究主幹は、電子回路に使われるインダクターのサイズをコイルを用いた従来型の1万分の1に小型化する新原理を考案した。絶縁体の薄膜を用いることで、電力効率は従来型の最高レベルを維持しながら小型化できる。厚さを最小で約10ナノメートル(ナノは10億分の1)にでき、高周波回路の小型・省電力化を実現する。実証に向け、実験を進めている。

内部は絶縁体で表面にだけ電気を通す「トポロジカル絶縁体」と、電気伝導は示さないが、外部から磁場をかけると磁気の振動は発生する「磁性絶縁体」の薄膜を積層する。これに交流電流を流すと、磁気の振動を介して逆方向の交流電圧が発生し、インダクターとして動作することを見いだした。

この「絶縁体インダクター」は、内部に余計な電流が流れず接合面のみを流れるため、電力損失を起こさない。インダクターの電力効率を示すQ値(品質係数)は最大で1000と試算され、従来型インダクターの最高値に匹敵する。

コイルを用いる従来型インダクターは0・1ミリメートル程度までしか小型化できなかった。また、2020年に実証された、コイルを用いずに金属磁性体を利用した「創発インダクター」は小型化は可能だが、動作時の電力効率悪化が課題で、Q値が0・01程度と省電力化は難しかった。

日刊工業新聞 2023年06月22日

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