SBIHDが国内半導体工場設立へ、北尾会長が語った狙い
SBIホールディングスは、台湾の半導体受託製造(ファウンドリー)大手のパワーチップ・セミコンダクター・マニュファクチャリング(PSMC)と国内で半導体工場の設立に向けた準備会社を立ち上げる。両社で製品構成や資本構成を検討し、工場の立地や建設・稼働時期の策定も進める。製造プロセスは線幅40ナノメートル(ナノは10億分の1)、55ナノメートルを採用する車載・産業機器用のICチップに注力し、中期的には28ナノメートル以下のプロセスに移行する。
準備会社でSBIグループは政府補助金や土地・インフラの優遇措置など潜在的な支援を日本政府に働きかける。資金調達のアプローチも担う。PSMCは事業計画、建設や技術移転、運営を手がける。特定のプロセス技術に関するラインセンスやコンサルティングを提供する。
北尾吉孝会長は合弁会社設立の狙いについて「日本の産業基盤として半導体の強いエコシステムを構築する」と語った。ファウンドリーの活用により半導体の水平分業化を推進。領域はミドルレンジや成熟分野を狙う。特に電気自動車(EV)市場の拡大で半導体需要が増えると予想し、「日本をグローバルサプライチェーン(供給網)の起点にする」(北尾会長)考えだ。
PSMCは台湾3位、世界6位の半導体ファウンドリー大手。PSMCの黄崇仁会長は「ファウンドリー設立で、日本企業のための日本製の半導体がつくれる」と意義を強調。SBIに対しては「資金が不足すると成功できない。財務面で期待している」と述べた。
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日刊工業新聞 2023年07月05日