防振天井の耐震性高める、鹿島が開発した新装置の構造
鹿島は音楽ホールなどの新築・天井耐震改修工事向けに、防振天井の耐震性を高める装置「RESI―CUBE」を開発した。従来の防振ゴムを代替するもので、防振性能はそのままに水平方向の動きを抑えられる。王子ホール(東京都中央区)や、横浜みなとみらいホール(横浜市西区)の改修工事で採用し、新築時と同等の遮音性能を確保していることを確認した。
RESI―CUBEは内部に丸型の防振ゴム、周辺部に防振性能に影響しないゴムパット付きのストッパーを配置した構造。ストッパーが水平方向の動きを拘束することで、天井の耐震と防振性能を同時に持たせることを可能にした。各部材はユニット化し、ボルトに鉄骨梁(はり)を固定するだけで設置できるよう工夫した。従来の防振天井と同等の遮音性能も実現できる。
音楽ホールは地震に伴う天井の落下事故などを受け、耐震工事のニーズが増している。特に高い遮音性能を求められる複合施設内の音楽ホールの耐震改修工事では、鉄骨梁の端部を防振ゴムで支え、その先を準構造天井とする例が多い。ただ、防振ゴムは遮音性を高める一方で水平方向の動きを拘束できないため、ストッパーの設置などで工事が複雑になる課題があった。
日刊工業新聞 2023年06月15日