ニュースイッチ

使用済みオフィス家具を海外に寄付、イトーキが二つの向上促す

使用済みオフィス家具を海外に寄付、イトーキが二つの向上促す

イトーキの本社兼ショールームで使用されていた家具。船便でカンボジアへと送られる

オフィス家具は耐用年数が長く、企業のオフィス移転や改装時にまだ使用できる状態でも廃棄処分されることがある。イトーキとNX商事(東京都港区)は、イトーキのオフィス家具納品先で発生した使用済み家具の海外寄付に取り組む。2021年に開始し、コンテナ約12本分に相当する約2000点の家具がカンボジアに送られた。まだ使える家具を二次使用することで廃棄物を減らし、寄付先の学校やオフィスで教育環境や経済生産性の向上を促す。

使用済みのオフィス家具は全てイトーキが老朽具合を判定し、ほぼ新品のもの、ある程度使用されたもの、廃棄するものなどに分けてリスト化する。リストはカンボジア大使館に送られ、その中から希望のあった家具を船便で輸送する。

カンボジアには地場のオフィス家具メーカーがなく、近隣国からの輸入品または手製の木製家具が使用されている。現地の工業の発展を妨げる恐れがないことも、寄付先にカンボジアが選ばれた理由の一つだ。

輸送費用は寄付する企業が負担する。廃棄より費用がかかるが「費用をかけてまでも寄付することを重視する会社が増えている」(中村哲史イトーキマーケティング統括部専門市場推進部長)という。今後も寄付の事例を増やし、23年には約30―50本のコンテナ分の家具の輸送を検討している。

23年春にはイトーキが自社で使用していた家具をカンボジアに送る。同社の本社はショールーム機能を有しており、定期的に家具を入れ替える必要があった。支店や中古品を扱うグループ会社に送るなど処分品を減らす取り組みをしていたが、再利用の難しい製品も残っていた。

使用済みとは言え、最新の商品で揃えられており、状態も良い。オフィス家具約250点が対象で、家具は4―5月頃にカンボジアに到着し、現地の大学で使用される。

今回は分解された状態で家具を送る。積載効率は上がるが、到着後に組み立てる必要がある。1―2カ月ほどかけて現地で受け入れ体制を築き、施工・組み立てができる技術者の育成を行う予定だ。

日刊工業新聞 2023年04月04日

特集・連載情報

ものづくり企業たちのSDGs
ものづくり企業たちのSDGs
17の目標と169のターゲットを掲げるSDGsが社会に浸透しています。ものづくり企業たちの取り組みを追います。

編集部のおすすめ