セブン―イレブン・ローソン…コンビニが麺類を国産小麦にする背景
コンビニエンスストア大手2社が麺類など一部商品の原材料の国産化に力を入れている。セブン―イレブン・ジャパンは2025年までに、パスタを除いた中華麺やうどんなどすべての麺を国産小麦にする。ローソンは22年度にラーメンの一部を除くうどんや冷やし中華などの調理麺を国産に変更した。今後は魚介類などの国産化も計画する。世界情勢の不透明感が増す中、原材料の長期・安定的な調達につなげる。国産原料を信頼する人は多いことから、販売数量が多いコンビニで積極採用することにより食料自給率向上を図る。(丸山美和)
セブン―イレブンは、大手製粉メーカーとともに生産者と協業して国産小麦を確保する。現在、冷たいうどんは順次国産小麦に切り替えている。そば粉も国産比率を上げている。「(当社が)生産者1軒ごとに契約はできないが、小麦を購入する仕組みを製粉メーカーと構築し生産者が安心して作れるようにする」(青山誠一セブン―イレブン・ジャパン取締役常務執行役員商品本部長)狙いだ。
ローソンは調理麺のほかに、おにぎりや弁当用の紅鮭、サラダに使う豚肉などを国産に切り替えた。紅鮭はロシアやアラスカ産から北海道産や三陸産に変更した。背景には「海運コストが上昇し、これまで高かった国産の価格に海外産が近づいた。紛争などによる海外産調達のリスクも大きく、為替の問題もある」(梅田貴之ローソン商品本部本部長補佐)と説明する。
世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大時には、鶏肉など調達が難しかった材料もあり「カントリーリスクを排除すためにも、国内調達は有効」(同)とみる。今後は魚介類なども国産化を進める計画だ。
日本の低い食料自給率問題は以前から指摘されている。大手コンビニが国産の原材料を積極的に使用する動きは、消費者に食への安心感をもたらすだけでなく、農家の離農を防ぎ、自給率改善にも寄与する。一方で、原材料を1次加工する工場は少なく、人手も足りていないという課題がある。このため農林水産省や経済産業省などとも協力し、横断的に課題を解決する取り組みが進められている。こうした一連の取り組みがあらゆる業種の多くの人に知られることも重要で、より効果の高い解決策や新たなアイデアが集まり、課題解決のスピードアップにつながる。