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アステラスが8000億円で買収、米社が開発する眼科新薬候補「ACP」とは?

アステラスが8000億円で買収、米社が開発する眼科新薬候補「ACP」とは?

アイベリック・バイオ公式サイトより

アステラス製薬は1日、眼科領域の新薬を開発する米バイオ医薬品会社、アイベリック・バイオ(ニュージャージー州)を約59億ドル(約8000億円)で買収すると発表した。2023年7―9月期中の買収完了を目指す。これにより、視力が低下する病気の一種「加齢黄斑変性」に対する新薬候補を獲得。抗がん剤や更年期障害治療薬候補に続く第3の重点戦略製品と位置付ける。27年以降、主力の大型薬の特許切れを控え、新たな収益源に育て売り上げ減を補う狙いがある。

ACPをイクスタンジの売上げ減を補う第3の柱へ

アステラス製薬による企業買収では過去最大となる。買収資金は銀行借り入れやコマーシャルペーパー(CP)の発行で賄う。今回、加齢黄斑変性の新薬候補「ACP」に加え、アイベリック・バイオが持つ技術や開発ノウハウ、販売基盤などを獲得し、中長期的な眼科領域の強化を図る。

ACPは、地図状萎縮(GA)を伴う加齢黄斑変性(AMD)の治療薬候補。実用化に近い段階の第3相試験から、GA面積の成長速度を抑制する効果が期待される。GAを伴うAMDについてFDAが承認している薬剤は一つのみで、アンメットメディカルニーズ(未充足の医療ニーズ)が高い。岡村直樹社長は「ACPはGAに対する標準治療となる可能性がある。比較的近く、市場投入を目指す」と説明する。

アステラス製薬は抗がん剤「イクスタンジ」や「パドセブ」、更年期障害治療薬候補「フェゾリネタント」などを重点戦略製品に位置付け、グローバルで開発と販売に力を入れてきた。同社の22年度の売上高は1兆5186億円で、これを支えるのがイクスタンジだ。同薬の22年度の売上高は約6600億円で、23年度も堅調に推移する見込み。

一方で岡村社長は「ACPを(パドセブ、フェゾリネタントに続く)第3の柱とし、特定の医薬品への依存度を下げる」と強調する。27年以降にイクスタンジは特許切れを控える。大型薬の売上減少を補い、また継続的な成長につなげるため、主力製品の成長と眼科領域の強化戦略が重要となる。

日刊工業新聞 2023年月5月2日

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