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社屋はゼロ・エネルギー・ビルに、東北ボーリングが挑むSDGsの徹底

社屋はゼロ・エネルギー・ビルに、東北ボーリングが挑むSDGsの徹底

「頂いた木を元に戻すまでがSDGs」という熊谷社長の考えで700本植林した

本社移転計画が持ち上がったのを機に、国連の持続可能な開発目標(SDGs)活動へ着手した東北ボーリング(仙台市若林区)。「次の時代を見据えた社屋を建てることを、社員と議論しながら決めていった」(熊谷茂一社長)中で、主力の掘削事業を生かし、地中熱や地下水熱を使って気候変動対策に貢献しようと決断。社屋をゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)とするべく、その相談に専門家の土屋範芳東北大学教授を訪ねたのが転機となった。

「土屋先生と待ち合わせた東北大の『エコラボ』に来てみてびっくり。木材がふんだんに使われ、木の香りにあふれていた」(同)と感嘆。すぐさま土屋教授に指導を仰ぎ、設計・施工・建築もエコラボと同じ会社に依頼した。

エコラボは東北大学大学院環境科学研究科の校舎の一つ。県産材を無垢(むく)材のまま利用した独特の外観が目をひく。採光と換気を兼ねた天窓など多彩な設計の工夫に、地中熱や太陽電池の導入などでZEB認証も得ている。

同時に熊谷社長は宮城県の林業が他地域より衰退している事態も知り、県産材の利用を模索。たまたま設計会社の紹介で石巻市の森林組合と接点ができ、市内の山林の木を特別に購入できることとなった。関係者の協力にも感激し、熊谷社長は「徹底してやらないと気が済まない性格なので」と、社員総出で立木の見学から伐採と製材の立ち会い、そして伐採跡地へ700本の植林まで循環型森林利用を追求した。

建設中の本社棟内。柱や天井は無垢材のままで利用する

県産材の活用促進を掲げる県とも連携。製材した木材は県が普及を促すCLT(直交集成板)材に加工し、屋根や床に活用。さらに県の“木育”活動推進事業にも協力し、建設中の本社棟を教材に、地元の大学生や高校生向けワークショップを催した。

「元々、本社棟をZEBのショールームにしようと考えていた。建築科のある大学や高校にもっと見て頂きたい」(熊谷社長)と、質の高い教育の提供にも貢献していく意向だ。

日刊工業新聞 2023年02月28日

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