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厚さ0.01mmの金属箔で「化学電池」開発、東京学芸大が見込む用途

厚さ0.01mmの金属箔で「化学電池」開発、東京学芸大が見込む用途

開発した化学電池。薄い電極を使い、直接手で触って反応の様子を調べられる

東京学芸大学の鎌田正裕教授らは、電極の変化を観察しやすい金属箔を使った化学電池を開発した。正極に硫酸銅水溶液と銅極板、負極に硫酸亜鉛水溶液と亜鉛極板を組み合わせた「ダニエル電池」を改良。それぞれの電極を厚さ0・01ミリメートルの金属箔を採用したところ、一般的に数時間かかる反応を約5分間に短縮し、電極の形や色が変化する様子を捉えられた。1セット100円程度で作ることができる。理科実験の教材への活用を見込んでいる。

電極を薄い金属箔にして、ビーカーの代わりに透明度の高いポリ袋を採用。生徒が間近で反応を観察でき、電極の変化を手触りで確認できるようにした。同教材を使うと約5分間の反応で亜鉛箔が薄くもろくなり、銅箔が分厚くなることが分かった。開発した教材を中学3年生60人を対象に実験で使ってもらうと、73・3%の生徒が電極反応で金属の溶出につながる変化を理解できたと回答した。

ダニエル電池は中高生の理科実験で使われている。だが亜鉛板の形状変化を目視できるまでに時間がかかるという課題があった。また短時間で黒く変色するが亜鉛と銅の混合物による変化であり、電極反応による結果ではない。このため目視で同反応を理解できる教材が求められていた。

日刊工業新聞 2023年4月3日

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