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部門責任者に“プロ”配置、プロテリアルの新体制は“化学反応”を起こすか

部門責任者に“プロ”配置、プロテリアルの新体制は“化学反応”を起こすか

スタック氏

プロテリアル(旧日立金属)は4月1日付で、その道のプロからなる経営執行体制を始動した。会長を兼務するショーン・スタック社長の下、財務や人事、戦略企画などの最高責任者を置く。トップ直轄の事業部制を敷いて機動性のある運営を目指す。日立のグループ色を払拭(ふっしょく)し、外部人材を交え“新会社”を軌道に乗せる。蓄積した技術を強みに、新たな求心力で組織にどんな“化学反応”を起こすか注目される。(編集委員・山中久仁昭)

プロテリアルは米ベインキャピタルなど日米ファンド連合が新株主となり、2022年末に上場を廃止。23年初には社名変更、日立系からの離脱と矢継ぎ早に事を進めてきた。

スタック社長は非鉄大手だった米アレリスの会長を務めた。競争法当局の手続きから発足はやや遅れたが“人事構想”がじっくり描かれてきたようだ。長年の慣習と「日立」の大看板を背にした社内の意識変革を進める。

その軸とみられるのが、執行役員を含む中で10人弱に及ぶ各分野の責任体制。財務や情報、技術はともかく、国内鉄鋼系で品質、戦略企画、経営改革などでの配置は珍しい。

日立製作所出身でファンドと交渉してきた西山光秋会長の退任に伴い、スタック社長は1日付で会長職を兼務する。脇を固めるのは技術系出身の村上和也副社長執行役員と“内外混成”の常務執行役員3人だ。

財務畑のトニー・チャー氏はマレリ(旧カルソニックカンセイ)出身。人事のプロの中島豊氏は元日本板硝子執行役で、富士通、リーバイ・ストラウスジャパンなどを渡り歩いた。戦略企画の増田久己氏(事務系出身)は村上副社長とともに日立金属の生え抜きだ。

このほか9人の執行役員は旧日立金属出身7人(女性1人)、ベインキャピタル出身、コンサルティング会社出身が各1人の構成。

1日付の機構改革では金属材料と機能部材の2事業本部を廃止し、特殊鋼、ロール、自動車鋳物、自動車部品など9事業部とし、意思疎通を円滑化する。

同社は今後、経営計画を策定する。上場を廃止したため情報開示が求められるが、再上場も視野に入れるスタック氏が事業の選択・集中で何をどう実行するかに関心が集まる。

日刊工業新聞 2023年03月31日

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