「ダイヤモンド半導体」早期実用化、スタートアップが目指す貢献
パワーダイヤモンドシステムズ(PDS、東京都新宿区、藤嶌辰也社長)は、ダイヤモンド半導体の実用化に向けて、第三者割当増資により3億円を調達した。資金を開発体制の整備に当てる。同社は早稲田大学の川原田洋教授らの技術を事業化する。研究チームを拡充し、ダイヤモンド半導体の社会実装に向けた取り組みを一段と加速する
第三者割当増資によりQBキャピタル(福岡市早良区)、早稲田大学ベンチャーズ(東京都新宿区)などから3億円を調達した。調達総額は約4億円になる。技術者を増やして開発体制を拡充する。
早大の基礎研究の知財に加え、PDSでパワー半導体の製造法を確立する。早大のクリーンルームを利用して開発を進めている。
ダイヤモンド半導体は高周波で大電流のパワー半導体を実現する重要技術。電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなど次世代パワーエレクトロニクス分野で実用化が期待されている。PDSはダイヤモンド半導体デバイスにより超小型・高効率インバーターモジュールを実現し、省エネルギー化に貢献することを目指している。
早稲田大学ベンチャーズの太田裕朗代表取締役は「ダイヤモンド半導体分野への注目は高く、ウエハーの大口径化の動きも加速している。開発体制の強化を前倒しすべく、資金調達も早期に実施するに至った。投資資金が早期のモジュール開発につながることを期待する」としている。
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日刊工業新聞 2023年03月15日