トヨタとデンソーが実証する水素循環の仕組み
トヨタ自動車とデンソーは、デンソーの生産子会社であるデンソー福島(福島県田村市)で、3月中旬から水素循環の実証を始める。トヨタが開発した水電解装置(写真)で再生可能エネルギーを使って水素を製造し、排ガス処理工程で活用する。実証成果を検証し、トヨタは水電解装置の外販を、デンソーは他の生産拠点への横展開を検討していく。
実証は2025年度内までをめどに行う。トヨタが開発した水分解装置は大きさが縦約2・3×横同5・8×高さ同2・8メートルで、1時間当たり約8キログラムの水素を製造できる。まずは1台をデンソー福島に導入し、24年央には水電解を行う燃料電池(FC)スタックを耐久性を高めた改良版に置き換える予定だ。
デンソー福島では工場の排ガスを燃やして無害化する「アフターバーナー炉」で、燃料の一部を液化石油(LP)ガスから水素に置き換える。水素比率は非公表だが、徐々に割合を増やしていく。デンソーは実証に合わせて、より低温で水素を燃やし窒素酸化物(NOx)発生を抑える、省エネ燃焼技術を開発した。
デンソー福島は30年ごろのカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現を目指している。他拠点への展開可能性を見極めた上で、将来は技術の外販も検討する。
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日刊工業新聞 2023年03月10日