ジェイテクトが量産、「eアクスル」向け超小型デフの強み
ジェイテクトは、早ければ2―3年内に電気自動車(EV)などの駆動装置「eアクスル」向け超小型ディファレンシャルギア(デフ、差動装置)の量産に乗り出す。容積が同等ならデフ強度は2・15倍以上、デフ強度が同等なら必要容積を6割減にできる強みを生かし、小型化が求められるeアクスル向けに提案する。生産場所など詳細は今後詰める。2030年にも同部品で売上高200億円を目指す。
従来の構造を一新し、自動車部品や産業用ロボット向けギアとして提案する。足元では自動車やeアクスルメーカーと性能評価を進めており、並行して量産体制も整える。EVに搭載した場合のデフの強度トルクは2万ニュートン程度を想定し、製品のシリーズ展開も計画する。
同社の歯車は独自の「3D歯面修整加工技術」が強み。歯車の歯同士が面でかみ合うと変形やノイズが少なく耐久性が向上する。同技術では歯の形状を丸くしたり、ねじったりと任意の形状にできる。耐久性は通常の加工に比べ3―4倍高められるという。
性能と加工のデジタルツイン(現実世界をデジタル空間上に再現)で、設計や試作時間を大幅に短縮する。設計では従来1週間程度必要だったが数時間に圧縮する。試作でもデジタル上で工具や素材、治具などを用意できるため、数カ月から半年かかっていた制作期間を数週間程度に削減できる。
ジェイテクトは21年に主力の自動車部品や工作機械、軸受のノウハウを集めた歯車事業を立ち上げた。当初、専従者は3人だったが、このほど20人規模に拡大するなどリソースを投入している。同事業部では市場や社会の課題を解決する製品を開発するのが基本戦略。第1弾として開発したのがeアクスル向けギアとなる。
日刊工業新聞 2023年03月03日