「EV消防車」事業化へ、モリタHDが自治体の脱炭素需要を開拓する
モリタホールディングス(HD)は2026年をめどに、電気自動車(EV)タイプの消防車を事業化する。EVモーターズ・ジャパン(EVM―J、北九州市若松区、佐藤裕之社長)からEV消防車用の車台を調達し、消防車を開発する。政令指定都市などからの受注を見込み、消防車でも進むと想定する二酸化炭素(CO2)低減ニーズを開拓していく。
モリタHDはバスやトラックなど商用EVを手がけるEVM―Jに3月7日付で2億円出資し、資本・業務提携する。第三者割当増資の一部を引き受けるが、筆頭株主ではなく出資比率も少数にとどまるとしている。
省エネルギー・長寿命のモーター制御と車両軽量化の技術に優れるEVM―Jと知見を合わせ、低床・低重心で安定性の高いEV消防車用の車台を共同開発する。モリタHDはEVM―Jから同車台を調達し、EV消防車に組み立てる。
消防車の車台を製造するトラックメーカーも特装車用にEVの車台供給を始めている。しかし、EV消防車に使える種類はまだ少ないのが実情。モリタHDはEV消防車用の種類が増えれば、トラックメーカーからも調達を検討する。
ただ自治体は率先しCO2低減に取り組む立場から、EV消防車の先行的な需要創出が予想される。そこでベンチャーのEVM―Jと手を組み、EV消防車用に適する車台を迅速に調達し、EV消防車の市場投入で他社に先駆ける。モリタHDは車台の上に組み立てるEV消防車の特装部分についても、すでに開発を進めている。
モリタHDは消防車で国内シェア58%。EVM―Jは19年設立で資本金34億3520万円。増資により試作車や見本車の開発、商用EVの量産工場建設を計画している。
日刊工業新聞 2023年03月03日