「G-SHOCK」初号機開発に関与…創業家以外で初のカシオ社長、増田裕一氏はこんな人
「企業価値を最大化」
カシオ計算機は27日、4月1日付で増田裕一専務執行役員(68、写真右)が社長に昇格する人事を発表した。樫尾和宏社長(57)は代表権のある会長に就く。1957年の創立以来、創業家以外が社長に就任するのは初めて。増田氏は事業環境が厳しい中で経営体制の強化や収益力の向上に向けたかじ取りが求められる。
27日都内で会見した増田氏は「たすきを引き継ぎ、重責をひしひしと感じる」とした。新型コロナウイルス感染拡大やウクライナ戦争などを受け、時計を取り巻く消費者の意識も大きく変化。増田氏は耐衝撃腕時計「G―SHOCK」の初号機開発に携わるなどブランドの成長拡大に貢献した実績を買われた。
増田氏は「創業家ではないことはプレッシャーではない。先行きが不透明な中、企業価値を最大化させることが最大のミッション」とした。樫尾氏は会長として「中長期経営計画の実現に向け監督を徹底する」と語った。
【略歴】増田裕一氏 78年(昭53)慶大工卒、同年カシオ計算機入社。06年執行役員、09年取締役、19年専務執行役員。神奈川県出身。
素顔/カシオ計算機社長に就任する増田裕一(ますだ・ゆういち)氏 マネジメント力、強み時計の企画畑出身で、「G―SHOCK」初号機の開発に携わるなど時計事業の成長拡大を推進してきた実力者。2022年12月末に社長就任を打診された際は、驚きとともに「事業環境が厳しい中、期待に応えられるかという気持ちだった。同僚や部下の期待を強く感じて自分の腹を決めようと決心した」と明かす。強みとするマネジメント力を生かして「社員が自発的に行動する風土を醸成し、予測しづらい市場を成長させる」と意気込む。
樫尾氏は「時計事業の再成長に加え、他事業を時計のように成長させてほしい」と期待を寄せる。増田氏は企業理念の「創造貢献」を挙げ、機能だけでは優位性を感じられない今こそ「人々の心を豊かにする創造貢献が必要」と強調。技術とマーケティングでこの理念を広げたいとする。
毎朝、腹筋や背筋、スクワットを100回行い、体力維持に努める。趣味は旅行や刀鑑賞。(高島里沙)