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植物色素「ベタレイン」遺伝子導入トマト、優れた抗炎症作用を獲得した

植物色素「ベタレイン」遺伝子導入トマト、優れた抗炎症作用を獲得した

発生過程での野生型とベタレイン産生トマトの果実(東京理科大提供)

東京理科大学の有村源一郎教授らは、強い抗酸化作用を持つ植物色素「ベタレイン」の遺伝子を導入したトマトが優れた抗炎症作用や大腸炎抑制作用を示すことを見いだした。遺伝子組み換え技術によりベタレインを可食部に蓄積するトマトやジャガイモの作出に成功し、特にトマトで各種炎症関連遺伝子の転写を抑制するなどの高い効果を確認した。ベタレインは熱に弱いが、ベタレイン産生トマトは生野菜として摂取でき、健康食品への応用が期待される。

ナデシコ目植物にのみ存在するベタレイン色素の一種、ベタシアニンの合成に関わる遺伝子を野生株植物に導入し、ベタシアニン産生トマト株と同ジャガイモ株を作った。これらの抽出物を希釈して免疫細胞のマクロファージ様細胞に投与した。その結果、100倍および1000倍希釈のトマト抽出物で、炎症性サイトカイン遺伝子や炎症誘導遺伝子の転写レベルが低下した。また、大腸炎を誘発させたマウスに抽出物を11日間経口投与したところ、大腸炎による体重減少が抑えられ、重症度を示す指標の値も大きく改善した。

日刊工業新聞 2023年02月23日

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