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電気以外が「想定外」に伸びている関西電力、狙う新事業のタネ

電気以外が「想定外」に伸びている関西電力、狙う新事業のタネ

関西電力公式サイトより

関西電力は100社を超えるグループ企業を形成している。エネルギーと送配電に加え、情報通信と不動産など生活・ビジネスソリューション事業の4事業を中核に据える。情報通信や不動産などの分野はゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)や家庭用光ファイバー通信回線(FTTH)などエネルギー分野と相乗効果を出しやすい。経営企画室の浜田誠一郎グループ事業担当室長は「中核事業をしっかりと成長させる」と意気込む。

関電は2000年頃から電気事業以外の取り組みを進め、今ではグループ全体の経常利益の4割を占めるまでに成長した。浜田室長は「20年前に種をまいたが、正直ここまで伸びるとは想定外。他の電力企業の中でも飛び抜けているのでは」と胸を張る。

だが現状に満足はしていない。成長が見込める分野として、コールセンターやデータセンターなどの事業を推進する。またベンチャーへの投資を通じエビの養殖といったユニークな取り組みを進めるなど将来の事業の種を探す。浜田室長は「生きの良いベンチャーに出資することでグループが成長する」と期待する。一方、「最終的には利益に貢献する必要があり、駄目な事業は畳んで、新規サービスに投入することが重要」(浜田室長)と事業のスクラップ&ビルドの必要性を説く。

新事業の種を探す上でカギとなるのが、イノベーションとデジタル化だ。新事業の創出は既存事業にとってマイナスと受け取られることもある。新事業の創出にはこうした組織の雰囲気を変える必要があり事業アイデアを社内で募るなど、新事業創出のための風土作りに努めている。さらに18年に設立したK4デジタル(大阪市北区)の人材を活用し社内をデジタル化することで、仕事を効率化するとともに新サービスの創出も目指す。

エネルギー事業に頼った経営ではなく、相乗効果が見込めるような新事業を探し続けることが継続的な発展につながるだろう。

日刊工業新聞 2023年01月12日

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