燃料価格高騰が打撃の東北電力、稼ぐ力磨くグループ戦略
東北電力グループは、東北電はじめ連結子会社、関連会社の計75社(2022年12月14日現在)で構成している。火力・原子力、再生可能エネルギーによる電力の安定供給や小売販売・スマート社会実現事業を手がける「発電・販売事業」を主軸とし、電力ネットワークサービスを提供する「送配電事業」、電気・通信・土木・建築工事などを手がける「建設業」「製造業」などで事業展開する。
東北電本体を取り巻く経営環境は厳しい向かい風の中にある。東北電は、22年11月に経済産業省に小売り規制料金の引き上げ申請を実施した。今回の値上げ申請は13年以来になる。燃料価格の高騰や21年、22年の二度の地震で複数の石炭火力の停止に伴い、燃料費の高いガス火力の焚き増しなども経営に打撃を与えた。
企業グループとして逆境の中にあるが、20年に打ち出した「東北電力グループ中長期ビジョン」で示す財務目標として、24年度に連結キャッシュ利益3200億円以上の達成を目指す姿勢に現時点で変化はない。同ビジョンでは、グループが目指す2030年代のありたい姿を示した。電力供給事業の構造改革とスマート社会実現事業の早期収益化によるビジネスモデルの転換を通じて、「東北発の新たな時代のスマート社会の実現」をグループ一丸で進めている。
「創業以来の転換点。『第二の創業期』ともいえる」。20年4月1日に社長に就いた東北電の樋口康二郎社長は、同日に船出した「送配電分離」に伴う新会社「東北電力ネットワーク」誕生の席で、変革への挑戦を強調した。中長期ビジョンで打ち出した力点は三つの「C」。この内の“チャレンジ”こそが目下の推進力ととらえる。いかにグループで稼ぐ力を高めていくか。第二の創業期に課せられた命題でもある。
電力小売を切り口に付加価値の高いサービスの提供に向けて、東北電本体と各グループ会社が外部とも連携して稼ぐ力を磨く。ビジネスモデルの転換へ、グループワイドの方針で「人財」活用も進めている。