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次世代太陽電池「ペロブスカイト」で脱炭素化を加速、横浜市と桐蔭学園が連携協定

次世代太陽電池「ペロブスカイト」で脱炭素化を加速、横浜市と桐蔭学園が連携協定

宮坂特任教授とペロブスカイト太陽電池

横浜市は9日、次世代太陽電池の本命とされる「ペロブスカイト太陽電池(PSC)」の実証や実装などに向けて桐蔭学園(横浜市青葉区)と連携協定を締結したと発表した。PSCの実用化に向けた実証フィールドの提供や市内企業とのマッチングの場の提供、PSCを活用した環境教育や普及啓発などを行う。横浜市は2050年の脱炭素化を目標に掲げており、PSCの活用によりその実現を加速する。

PSCは桐蔭学園が運営する桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が09年に発明した。軽く薄くて柔軟なため、既存の太陽電池は設置できない耐荷重の小さい工場屋根や壁などに設置できるほか、曇天や屋内などにおける弱い光でも発電できる。また、フィルムなどの基板に溶液を塗布して作製するため製造コストを安価にできると見込まれる。国内では積水化学工業東芝などが25年以降の事業化を目指している。

同日会見した横浜市の山中竹春市長は「横浜市がPSCの発祥の地として持続可能な都市モデルを展開できるように取り組みたい」と力を込めた。桐蔭学園の溝上慎一理事長は「PSCを横浜から世界に発信するために市に音頭を取ってほしい」と期待した。宮坂特任教授は「(協定に基づく実証実験を通して消費者などに)生活空間の中でPSCに触れてもらい、良さを実感してもらいたい」と述べた。

※関連記事:次世代太陽電池の本命…日本発「ペロブスカイト」、激化する開発競争の現在地

駅改札前で実証実験

桐蔭学園や東急、東急電鉄、横浜市は11日、横浜市青葉区の東急田園都市線「青葉台駅」の改札口前でペロブスカイト太陽電池の実証実験を実施する。天窓下で直射日光がなく、人の往来が多い場所で、PSCの発電性能などを確認する。将来の既存建物や駅、車両などへのPSC設置の検討に生かす。

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