東レが韓国で生産能力6割増強、「PPS樹脂」の成長性
東レは、韓国のポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂「トレリナ」の生産能力を約6割増の年1万3600トンに増強する。耐熱性や機械的強度などの高いPPS樹脂は今後も年率6%以上の成長が見込まれ、拡張余地のある韓国工場を増強する。これにより日本と韓国の年産能力は従来比約2割増の合計3万2600トンとなる。2024年12月の稼働を見込み、投資額は非公表。
増強するのは韓国子会社の東レ尖端素材(ソウル市)が16年に稼働した群山工場(群山市)。主原料の硫化水素ナトリウムやパラジクロロベンゼンを自製する一貫生産拠点。年産能力は8600トンで、今回5000トンを増強し、年1万3600トンに引き上げる。また硫化水素ナトリウムの設備も増強する。23年度に着工を見込む。
日本の東海工場(年産1万9000トン)と合わせた生産能力は3万2600トンとなり、世界首位のポジションをさらに強化する。
PPS樹脂は耐熱性や耐薬品性などの高いスーパーエンジニアリング樹脂で、電気自動車などの電装部品や電機・電子機器向けに需要増が続く。22年の世界需要は約12万トンと推定され、今後も高成長が見込まれる。
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日刊工業新聞 2023年02月07日