ニュースイッチ

官公庁で全国初、川崎市が「電気推進船」の建造に乗り出す狙い

官公庁で全国初、川崎市が「電気推進船」の建造に乗り出す狙い

川崎市が運用している現役の海面清掃船「つばき」(川崎市の許諾を得て同市ホームページから取得)

川崎市は官公庁としては全国で初めて、電気で航行する電気推進船の建造に乗り出す。川崎港で現在運用しているディーゼル式海面清掃船の後継船として、総額およそ5億6000万円を投じ、2025年3月までに電気推進船を2隻完成させる。国内最大規模の工業地帯である同市臨海部のカーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)化を目指す一環として、船の脱炭素化を図る。

燃料に重油を使うディーゼルエンジンを搭載した現有の海面清掃船2隻の老朽化が進んだことから、後継船としてバッテリーで航行し、二酸化炭素(CO2)を排出しない電気推進船を建造する。

新造船は水深が浅い海域にも適応する「第一清港丸」(4・85総トン)、より大型の「つばき」(13総トン)の現役2隻それぞれと同規模にする。

事業費のうち初年度分5780万円を、6日まとめた23年度予算案に盛り込んだ。発注先を入札で決めて設計に取りかかり、25年度中の運用開始を目指す。2隻を同じ事業者に発注するかどうかなどの詳細は未定。再生可能エネルギー由来の電気を、動力に使うことも検討する。

海面清掃船は3300ヘクタールに上る川崎港の港湾区域で、海面上の浮遊物を回収する。国内有数規模のコンビナートを擁する川崎市臨海部の脱炭素化に向け、化石燃料からの転換を図る。

日刊工業新聞 2023年02月07日

編集部のおすすめ